一本釣り漁法と投網漁法:転職環境の変化と応募先開拓の変化
一本釣り時代の常識
幸せなキャリア論の章でもお話していますが、私は新卒時に「バブル期」に遭遇した人間です。
おそらく二度と到来しないであろう、究極の売り手市場の雇用環境がそこにありました。
そうした強い売り手市場の時代には、転職活動のスタンスも今とは明らかに違いました。
- 少ない応募先だけで簡単に就職が決まる
- 応募条件を満たす求人だけに応募すれば良い
- 入りたいと思う会社だけに応募すれば良い
- 1社1社を応募前に入念に研究することができる
- 応募書類は丁寧に手書きで書くのが良い
- 応募書類はなるべく個別対応で用意するべき
つまり、「ここ」と狙いを定めた少数の会社に対して個別に最大限の準備をし、内定を勝ち取るやり方です。
これを私は「一本釣り漁法」と呼んでいます。
確かに労働力に対する強い需要があり、働き手が優位にある市場ではそれが有効な手段でした。
しかし、その後景気変動を繰り返しながらも、転職環境は買い手優位の市場に傾いてきました。
そこでは、上記のような売り手市場のスタンスではなかなか成果を出せなくなっているのです。
投網漁法時代の常識
近年ではリーマン・ショックや東日本大震災の直後のように、労働力需要が一気に弱まり、強い買い手市場になった局面がありました。
しかし、その後の回復局面においても、明確に売り手市場と呼べるような状況は訪れていません。
そうした買い手市場においては転職活動の常識も変わってきます。
- 大量に応募しないと就職が決まらない
- 応募条件を満たさない会社にも積極的に応募することが必要
- 希望に合わない会社にも広く応募することが必要
- 応募前の企業研究はコンパクトに済ませることが必要
- 応募書類はパソコンで作成するべき
- 応募書類はセミオーダーメイドに留めるべき
どの案件にも大量の応募者が殺到するため、一部の優れたキャリアの持ち主以外は、狙いを定めた少数の会社から確実に内定を勝ち取ることは難しく、数多くの会社への応募を前提とせざるを得ないのです。
私はこれを、「投網漁法の時代」と呼んでいます。
つまり、ピンポイントに獲物を狙うのではなく、「このあたり」といった感覚でバサッと網をかけるイメージです。
そのためには、応募する案件ごとの個別対応も、売り手市場の時代に比べれば限定的にならざるを得なくなります。
パソコンやインターネット、そしてスマホの普及が、こうした大量応募を可能とし、また必要とさせている側面もあります。
転職希望者は条件の合う案件を一瞬で検索し、アプローチすることが可能になったからです。
もちろん、応募先開拓のスタンスは、景気変動やあなたの属性やキャリアによって変わってきますが、いずれにしてもある程度の応募数を想定したスタンスが求められることは間違いありません。
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