オフラインの求人開拓:人脈その1
人のつながりは最強
転職活動と聞けば、
「求人サイトで見つけた求人に応募して、大勢の応募者の中から選考を勝ち抜いて…」
といったイメージを浮かべますが、それが全てではありません。
世の中には、もっと確実に、もっと素早く転職が決まる方法があります。
それが、人脈による転職です。
その代表的なものが、「ツテ」「コネ」と言われるものです。
それらを耳にすると眉をひそめる人もいるかもしれませんが、それも立派な転職方法です。
厚生労働省の「雇用動向調査」(平成25年度)によれば、転職者全体の25.0%、つまり4人に1人は「縁故」によって転職しているのです。
また、同調査による年齢別入職経路(=転職先を手に入れた方法)は下記のようになっています。
縁故による転職の割合は年齢を増すごとに高くなり、特に55歳以上の男性はおよそ2人に1人が縁故によることがわかります。
(ただし、この調査による「縁故」には、定年後の再雇用等も含まれることに注意)
これは、
- 高齢になると一般公募ではふさわしい求人が見つかりにくいこと
- 高齢になるほど活用できる人脈が広がるということ
の両方を示していると言えるでしょう。
ただし、縁故が効果的なのは中高年の方に限りません。
転職活動がうまくいかない20代、30代の方が、人脈に目を向けてそれこそ「あっという間に」転職に成功した例はたくさんあるのです。
また、私の支援においても、必ず一度は「活用できる人脈がないか」を確認することにしています。
なぜなら、それが転職活動の劣勢を挽回するためには最も強力な手段だからです。
なぜ人脈は強いのか
なぜ人脈が強力なのでしょうか?
その理由を一言で言えば、
「特別扱いされるから」
ということになるでしょう。
一般的な転職活動では、他の求職者と横一線、同じ立場で競うことになります。
あなたは採用企業にとって赤の他人であり、応募者の中の「ワンオブゼム」に過ぎません。
好条件の求人では数十倍の競争率は当たり前、時には数百倍になることさえあります。
その競争を勝ち抜いて僅かなイスを勝ち取ることがどれだけ難しいことか、言うまでもないでしょう。
しかし、人脈を使った転職活動では、そもそもスタートラインがライバルとは違い、はるかに有利なポジションからスタートできますし、場合によっては完全に無競争で職を手に入れられることさえあります。
それは、人脈を持つものの特権であり、それ自体が立派な強みなのです。
現実問題として選考の場において人脈の力学は作用しますし、それに対する是非をここで論じても仕方ありません。
人脈を使うことも戦略の1つであり、後述のようにその戦略を採ることに伴うデメリットもありますから、その戦略を採るかどうかはその人の「選択」なのです。
転職活動における人脈のレベル
一言で人脈と言っても、そのレベルは様々です。
人脈の活用は「使う」「使わない」の単純な二択ではなく、使うにしても「どのレベルで使うか」の違いが存在します。
人脈のレベルの例を挙げてみましょう。
採用権限者への人脈
最もわかりやすい例は、知り合いが会社の社長、というような場合です。
たとえば、親戚が会社を経営しているとか、元同僚が独立して会社を興したとか、大学の先輩が親から社長を継いだとか、いろいろなケースがあり得ます。
社長でなくても、役員クラスや人事責任者などへの人脈も含まれるでしょう。
上記は自分が直接相手を知っている場合ですが、そうでなくても社長やそれに近い立場の人に口を利いてくれるような知人がいる場合もここに該当します。
採用の決定権者への直接的なコネは最も強力な人脈であり、「鶴の一声」で採用が決まってしまう可能性も十分あります。
採用権限者以外への人脈
たとえば、友人が勤めている会社とか、以前取引経験があって自分のことを知ってくれている会社など。
つまり、あなたの人間性や仕事ぶりを知り、評価してくれる人が社内にいて、その情報を伝えてくれるケースです。
直接採用権限者と関わりがあるわけではなくても、そこから経営層や採用担当者に話がつながる可能性もありますので、場合によってはかなり強力な効果を生み得る人脈とも言えます。
採用側以外の人脈
採用側につながりがなくても、転職活動に効果をもたらし得る人脈もあります。
たとえば、推薦状を書いてあなたを企業にプッシュしてくれる知人・友人など。
上記の人脈に比べれば効果はかなり落ちますが、それでも一定の信頼性の証となり、ライバルとの差別化に役立ちます。
ただし、その知人が有力者、たとえばどこかの市長さんや議員さんなどで、あなたを後押ししてくれる場合は、次元の違う強力な効果を発揮する可能性があります。
情報主体の人脈
たとえば、取引業者として多くの会社に出入りしている知人がいるようなケース。
採用に影響するようなコネクションはなくても、その会社の経営状態や社風、将来性などについて情報をもらえれば、企業選択の参考にはなります。
場合によっては「あの会社は退職者が出たので●●の人材を必要としているらしい」といった採用に関する情報が得られる可能性もあります。
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