文章のスリム化で自己PR文を1枚に収める
情報の取捨選択が腕の見せどころ
エピソードを徹底的に詳しく書き出したら、次はそこから1枚に収める作業になります。
つまり、文章のスリム化です。
もう材料は出揃っているわけですから、カンタンなことです、と言いたいところですが、ここからが本当の腕の見せどころです。
1枚と言っても、名前やタイトルを書き込むスペースも必要ですから、実際には1枚を丸々本文に充てることはできません。
「下書き」の分量は、多い人だと3~4枚にもなりますから、場合によっては数分の一の分量に削っていかないといけないわけです。
「じゃあ、最初からそんなに書かなければ楽なのに」
と思われるかもしれません。
でも、経験上、最初から1枚強にしかならないような話だと、エピソードの内容が薄いか、あるいは必要な情報が出し切れていなくて、いずれにしても最終的に良い自己PR文になる可能性はかなり低いのです。
いかにして大量の情報から重要なものを残して1枚に収め、なおかつ「共感を得る」という目的を果たす文章に仕上げるか。
文章のスリム化は、大胆さと繊細さの両方が必要であり、まさに文章力が問われる作業になります。
大きなスリム化作業
まずは、分量を大きく減らすための作業について説明していきます。
不要な部分をばっさりカット
せっかく書いた下書きですが、重要性の低い部分、なくても本筋に影響しない部分を、まずは大胆にカットしていきます。
元の文章を半分とか数分の一に削るわけですから、この段階ではかなりの思い切りが必要です。
編集作業はパソコンで行いますが、この段階ではまずプリントアウトした下書きに、バシバシ横線を入れて消していくと良いでしょう。
削れない部分の思い切った要約
構成上、どうしてもカットはできない、でもそのままではスペースを取り過ぎという部分も出てきます。
そんな場合は、内容を思い切って要約します。
たとえば、
「韓国からの部品調達ルートを持っていなかったため、韓国出張の期間中に部品の調達先を求めて歩きまわりました。通訳のために韓国の営業所スタッフに同行してもらいましたが、調達先を見つけるまでは広いエリアを探し続ける必要がありました。スタッフからは疲労により不満を漏らされることもありましたが、最終的には調達先を見つけることができ、課題解決に向けて一歩前進しました。」
といった文章を、
「滞在期間中は韓国スタッフと部品の調達先の開拓に駆けまわり、何とかメドをつけました。」
のようにまとめるといった具合です。
事実の部分的な改変
あまり好ましいことではありませんが、場合によっては、多少事実とは異なる内容に変えてしまうこともあります。
もちろん、ありもしない成果をでっち上げるとか、そういう虚偽記載のようなことは厳禁です。
あくまでも、記述スペースを省略するために、本筋には影響しない範囲で事実関係を簡略化してしまうようなケースです。
たとえば、関係者は本当は3人だったが便宜上2人にするとか、ある人と会ったのは2回目の訪問時だったが1回目の訪問時に会ったことにする、等。
重要度の低い部分に限って、最低限の変更に留めます。
上記のような作業で、分量を半分とか3分の1にするような、大きなレベルでの文章のスリム化ができるはずです。
小さなスリム化作業
ここから先は、1行あるいは文字単位の細かいレベルでのスリム化になります。
表現の重複を避ける
分量を気にせずに書いた文章では、同じような意味の語句や表現が重複していることが多々あります。
「緑の窓口に並んでいるお客様の列では前のお客様から順にお求めになるきっぷを尋ねて、指定席券売機でも購入が可能なきっぷをお求めのお客様でしたら指定席券売機に案内することで、窓口での並ぶ時間の短縮及び窓口の混雑の緩和をしていきます。」
この文章では、「窓口」「お客様」など同じような語句が繰り返し使われているために、スペースを取ると同時に読みづらくなってしまっています。
「緑の窓口に並ぶお客様にご用を尋ね、指定席券売機でも購入可能な切符をお求めの場合はそちらに案内して混雑の緩和を図ります。」
のようにすれば、文章も読みやすくなり、同時にスペースを減らすこともできます。
文字数の少ない表現に変える
また、内容そのものは変えないで、文字数の少ない表現に変えることでスリム化を図ることもできます。
- 「理解することができた」→「理解できた」
- 「対応を急がなければならない案件」→「急を要する案件」
- 「もう一度電話で確認してみたが」→「再度の電話確認にも」
このような工夫で行数や文字数を調整して、1枚に収めていきましょう。
全体の文字数の目安
1枚に収めたと言っても、余裕を持って収めた場合と、ギチギチに詰め込んだ場合とでは、文字数は大きく違います。
私が考えている理想的な文字数は、およそ1,200文字程度です。
経験上、1,300文字を超えると圧迫感を感じますので、できるだけ1,300文字以下に収めましょう。
文字数は、ワードならこのように編集画面の左下で確認できます。
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