対比・コントラストの活用が成果を際立たせる
ビフォア・アフターの論理
「自己PR文の最高のネタは○○の経験の中にある」の中で、
「失敗や挫折の話に留まらず、様々な努力や工夫によってそれらを乗り越えた成長・克服の過程を丹念に描くこと」
が共感を生む秘訣であることをお話しました。
これを別の角度から見ると、「失敗や挫折」の状態と、それらを克服した後の状態とのコントラストが効果を生んでいる、という見方もできます。
話は変わりますが、テレビの人気番組に「大改造!!劇的ビフォーアフター」という番組があります。
「匠」と呼ばれる建築の専門家が、住宅の問題を解決する番組ですね。
私は、この番組の人気の秘訣の1つは、「対照性」にあると思っています。
つまり、
「匠がリフォームを手がける前の、住宅の問題の深刻さや住人の悩みの深さ」
と、
「匠がリフォームを手がけた後の、住宅の素晴らしさと住人の幸せそうな笑顔」
の間の対比・コントラストです。
両者の差が大きいほど匠の力量は引き立ち、番組も盛り上がるというわけです。
これを自己PR文に当てはめて考えてみると、
- 最初に存在していた課題やあなたが直面した問題を提示する(=ビフォア)
- 次に、その課題や問題を解消あるいは改善するために行なった努力や工夫を描く
- 最後に得られた成果を示す(=アフター)
すなわち、この「ビフォア」と「アフター」の差が、あなたが生み出した「付加価値」ということになるわけです。
もう少しわかりやすく図示すると、こんな感じです。
したがって、この構成をとれば、自ずとあなたの仕事ぶりの素晴らしさを読み手に明確に伝えることができるでしょう。
成果や実績だけを並べ立てる自己PR文が効果を生みにくい理由も、これを見ればよく理解できるはずです。
効果的な対比は『過程』が命
しかし、ことさらに「ビフォア」と「アフター」とのコントラストだけを強調すると、誤解を招いてしまうかもしれません。
というのは、上の図の中で最も大切なのは、実は「ビフォア」と「アフター」の間にある、「過程」の部分だからです。
話を「大改造!!劇的ビフォーアフター」という番組に戻すと、この番組の人気のもう1つの理由は、
「住人の苦労や願いを受け止めて、匠が知恵を絞り、ときに思わぬアクシデントに困惑しながら、様々な工夫で困難を克服していく過程を丁寧に紹介していくこと」
にあります。
だからこそ、リフォームが完了した時の感動が際立つのであって、その過程をすっ飛ばして、
「ほら、こんなに広々とした部屋になりました」
「こんなに便利な家になりました」
という結果だけを見せる番組だったとしたら、あれほど胸を打つことはないでしょう。
自己PR文でも同じです。
あなたが困難に立ち向かい、苦悩し、努力や工夫で乗り越える過程を、できる限り詳しくリアルに説明しましょう。
そこでどれだけ過程を深く描くことができるかによって、あなたの自己PR文への共感の深さ・大きさは違ってくるのです。
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