自己PR文と実物のギャップは違和感を生む
書類は通るのに面接が通らない!?
実は以前、なぜかコンサルティングの受講者の転職がなかなか決まらない時期がありました。
その頃、私は自己PR文の作成支援にかなりの自信を持つようになっていました。
自信のあまり、受講者の自己PR文に細かい指導を入れ、場合によっては代筆に近い形を採ることも少なくありませんでした。
客観的に見ても自己PR文の完成度は高まり、受講者の書類選考を通過する確率は軒並み上がっていました。
でも、なぜか面接をなかなか通過しないのです。
その頃の私は、不遜にも、
「どうしてこんなに書類を通してあげているのに、面接で全敗しちゃうかなぁ~」
などと思っていました。
でも、あまりにも面接で落ちてしまうので、さすがにおかしいことに気付き始めました。
そしてある時、受講者の定例ミーティングの中で、気になる言葉を聞いたのです。
「面接の序盤はすごく良い雰囲気なんですけど、どんどん尻すぼみになってしまうんです」
そんな趣旨の言葉でした。
その後他の受講者からも同じような感想を聞いたことで、私は1つの仮説に思い至ったのです。
「もしかしたら、自己PR文が原因かもしれない…」
独り歩きしていた自己PR文
私は強力な自己PR文の作成ノウハウに自信があるあまりに、自己PR文単体の作りこみに没頭してしまい、応募者の個性をそっちのけにしてしまっていました。
つまり、たしかにその自己PR文は、紙の上では人を引きつける強力な引力を持っていました。
しかし、いつしか応募者から独り歩きしてしまい、実像とのギャップが大きくなってしまっていたのです。
採用担当者の頭の中には、応募書類を読むことで一定の応募者像が作り上げられます。
そして応募者の中でも、強力な自己PR文を提出した人については、その内容に基づいてはるかに鮮明な応募者イメージが、それも好意的なものが創りあげられることになります。
それによって書類選考を通過できるだけでなく、面接も他の応募者よりも好意的な雰囲気で迎えられることになるわけです。
良いことづくめのようですが、あらかじめ持たれていたイメージと、実際の面接の場での実像との間に明らかなギャップがあると、そこには大きな違和感が生じてしまいます。
強力な自己PR文であればあるほど事前に作られる良いイメージは膨らみ、採用担当者の期待値は大きくなります。
しかし、目の前の本人の印象がイメージに劣ると、その落差は落胆となり、逆にマイナスの印象を拡大することになりかねません。
つまり、事前にハードルを上げ過ぎると、かえって印象・評価を悪くしてしまう可能性があるのです。
その意味で、強力な自己PR文というのは諸刃の剣なのです。
それを理解して以降、私は自己PR文の支援で過度に干渉することはできるだけ控え、コンサル受講者の個性を尊重することを心がけるようになりました。
「自己PR文は受講者のものである」
という当たり前のことに気づいたんですね。
私が受講者に自己PR文のサンプルを極力見せない理由の一端もここにあります。
他の人の自己PR文を参考にすると、どうしてもその人の個性を真似てしまうことになるからです。
自己PR文は、あなたの分身でなければならないのです。
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