「外さない」自己PR文のエピソードの絞り方
エピソードは1つに絞る
自己PR文のネタ候補となるエピソードを出せるだけ出せたら、次は「絞り込み」です。
前ページでもお話したように、エピソードの選択が自己PR文の成果を左右するため、慎重に検討する必要があります。
そして、絞り込みにあたっては、大切なルールが1つあります。
それは、
「エピソードは1つに絞る」
ということです。
たとえあなたが100個の候補エピソードを挙げたとしても、自己PR文に使うのは、原則としてそのうちの1つだけです。
その理由についても、すでに「自己PR文の共感の深さ=どこまで掘り下げて描けるか」のページで説明しました。
どんなにたくさん良いエピソードがあったとしても、1枚の中にあれもこれも盛り込んでいこうとすると、どれも中途半端な描き込みしかできず、深い共感を得るには至らないからです。
ただし、どうしても単独で自己PR文として成立させられるだけのエピソードが見当たらない場合は、複数の関連あるエピソードを組み合わせて1つの自己PR文とするケースもあります。
しかし、それはやむを得ない場合の次善の策であり、あくまでも1つのエピソードに絞って詳しく書き込むのが理想です。
はずさないエピソードの絞り方
では、たくさん思い出したエピソードの中から、効果的な自己PR文にできるものを選び出す方法についてお話しましょう。
私は、エピソードを選ぶ際に、次の3つの観点に注目します。
- 評価:そのエピソードによって、「職業人として評価されるか」
- 共感:そのエピソードによって、「共感を感じてもらえるか」
- 印象:そのエピソードによって、「強い印象を与えられるか」
「評価」は、エピソードに描かれるあなたの仕事ぶりや実績などによって、あなたが「仕事ができる」と評価されるかどうか、という観点です。
中途採用の多くは即戦力として期待されるわけですから、職業人として有能であることをアピールできれば望ましいことは言うまでもありません。
「共感」は、エピソードに描かれるあなたの仕事ぶりや姿勢などによって、あなたを「人間として好ましい」と思ってもらえるか、という観点です。
この共感を得るというのは、繰り返しお話してきたように、自己PR文を作成する最大の目的です。
そして「印象」は文字通り、多くのライバルの中に混じって採用担当者に「強い印象を残せるか」という観点です。
印象が薄くて記憶に残らないような自己PR文では書く意味がありませんから、これも重要なポイントです。
以上の3つの観点に沿って、それぞれの観点からふさわしいと思われる候補エピソードをピックアップします。
「『評価』が期待できるのは、これと、これと、これぐらいかな。『共感』はこれと、これと…」
といった感じです。
中でも複数の要素を満たしているエピソードがあれば、有力な候補になるでしょう。
ただ、上記の3つの観点は同一のウェイトではなく、迷う場合は自己PR文の最大の目的である「共感」の要素を満たしているエピソードを最も重視します。
そうすれば、「外してしまう」可能性は最小限に抑えられるでしょう。
使わなかったエピソードの活用法
自己PR文には1つのエピソードしか使わないとなると、
「せっかく一杯出したのにもったいな~い!」
と思うかもしれませんが、自己PR文のために思い起こした仕事上のエピソードは、他の局面で使い道があります。
1つは、職務経歴書です。
職務経歴書を書く時には思いつかなかったアピール要素が、自己PR文のために思い起こしたエピソードの中にいくつも出てくることがあるのです。
そこで得られた材料は、職務経歴書のブラッシュアップに有効に使うことができます。
もう1つは、面接対策です。
面接では、質問に対してあなたの強みや実績などを回答する際、その証拠となるエピソードを添えられると回答に信ぴょう性が増します。
「それは○○です。例えば以前、☓☓ということがありました」
といった具合です。
その証拠となるエピソードとして、自己PR文のネタ用に思い起こしたエピソードを使うことができるのです。
このように、自己PR文用に思い起こしたエピソードは、他で有効に「リサイクル」できます。
ムダと思わず、思い切って絞り込みましょう。
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