自己PR文はエピソードで書く
自己PR文の本文はエピソード
「自己PR文のフォーマット」のページで、自己PR文にはフォーマットと言えるものはなく、全編をメインパートとして書ききる、というお話をしました。
では、そのメインパートには、何を書いていけばよいのでしょうか。
それはズバリ、「仕事のエピソード」です。
過去の仕事上の印象的なエピソードを、詳しく徹底的に紹介する。
それに尽きます。
どのようなエピソードを題材に選ぶべきかは、別のページで詳しく紹介したいと思いますが、特にあなたの人となりや仕事ぶり等が良く伝わるものが望ましいです。
ここで間違いやすいのは、「目覚ましい実績を挙げた時の話」などを選んでしまいがちなことです。
つまり、「私はこんなに仕事ができる/優秀なんだぁ~」って話ですね。
でもそれは、職務経歴書の方でアピールすべきこと。
自己PR文で目指すのは、あなたへの「共感」を得ることです。
もちろん、そのエピソードの中で有能さも伝われば一石二鳥ですが、あくまでも共感を感じてもらうことが絶対条件であることを肝に銘じることが大切です。
逆に、「自己PR文で採り上げられるようなエピソードなんて無いよ」という人もいるかもしれません。
でも、上述の通り、自己PR文の目的はあなたに共感を感じてもらうことであって、あなたの有能さをアピールすることではありません。
ものすごい実績や成績は必要ないのです。
あなたの人となりや仕事ぶりを「ちょっと良いな」と思ってもらえるような、そんなエピソードでも構いません。
ちょっとしたエピソードでも、焦点の当て方や切り口の工夫で、十分に良い自己PR文になり得るのです。
過去のサラリーマン生活を振り返れば、そんなエピソードはきっといくつも転がっているはずです。
あなたの良さはエピソードに語らせる
自己PR文ではなぜエピソードを使って書くのか、その理由をお話しましょう。
1つは、信ぴょう性の問題です。
自己PR文とは、「自分で自分をPRする文」のことです。
あなたが自己PR文の中でいくら自分の良さをアピールしたとしても、採用担当者からすると、
「それって本当?」
「採用されたいからってウソを書いてない?」
という疑問を伴うのです。
もう1つは、心理的な抵抗感の問題です。
「自分で自分をPRする文」は、ともすれば「自慢」になってしまい、読み手に共感を感じてもらいにくくなってしまうのです。
この2つの問題は、エピソードを描くことでほとんど回避することができます。
たとえば、あなたが自分で、
「私はとても責任感が強く、そのため上司からも厚い信頼を得ています」
とただ書いたとしても、それだけでは読み手に信用されませんし、共感を得ることもできないでしょう。
しかし、次のようなエピソードを紹介したとしたらどうでしょうか。
2年前、私は新商品の大切なプレゼンを任されました。部長の期待に応えるために、直前の1週間は会社に泊まり込み、資料を練り上げました。
しかし、無理がたたって体調を崩し、プレゼンの前夜に39度の熱を出してしまったのです。体はふらつき、まっすぐ歩くこともままなりません。
一度はプレゼンを諦めかけましたが、「お前ならきっとうまくやってくれるはずだ」という部長の言葉を思い出し、薬を飲んで出かけました。
当日はただ無我夢中でしゃべり、精魂尽き果てた私はその日から入院することになったのです。
入院して5日目、病院に見舞いにやって来た部長が笑顔で言いました。
「商談成立だ。やったな」
私は思わず泣いてしまいました。
このエピソードの中には、「私は責任感が強い」や「上司から厚く信頼されている」のように自分を形容・評価する言葉はいっさい出てきていません。
でも、このエピソードを読めば、「私」がいかに責任感が強くて、いかに上司から信頼されているかが自ずと伝わるはずです。
もちろん、このエピソード自体の信ぴょう性が問われる余地は残りますが、エピソードをより具体的に鮮明に描くことで、そのエピソードはたしかな存在感を持ってくるのです。
このように、あなたの良さを自分の口で語るのではなく、エピソードに語らせることで、共感を生む自己PR文を書き上げることができるのです。
なぜ定型文を使わなくなったのか
ここまで読み進めて頂ければ、「自己PR文のフォーマット」のページで、なぜメインパート以外の定型文を使わなくなったのか、理解してもらえるのではないかと思います。
「私は○○する自信があります」「私は○○できると自負しています」のように、あなたが自分の口でアピールする文章は、共感を与える目的と逆行してしまうからです。
わざわざそのように自分の口でアピールしなくても、エピソードがしっかり書けていれば、自ずと、嫌味なく、あなたの良さは読み手に伝わるのです。
ただでさえA4判1枚というスペースは限られています。
目的に逆行する文章にスペースを取るよりも、そのスペースをエピソードに回す方がはるかに有意義に使うことができます。
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