職務経歴書のための棚卸し その1
なぜ棚卸しが大切なのか
自分の過去を振り返るというのは、楽しいことばかりではありません。
数年あるいは数十年ものスパンで過去の記憶を掘り起こす作業は、精神的にもかなり大変です。
それでも、転職活動においては、そこをガマンしてどれだけ念入りに棚卸しを行ったかが、成果に大きく影響します。
転職活動という名の「営業活動」では、扱える商品は「あなた自身」だけ。
あなた自身のことを自分が詳しく把握していなければ、他の人にあなたの良さを理解してもらったり、高く評価してもらえるはずがありません。
良い材料も悪い材料もすべて手の内に把握していて初めて、うまく調理することができるのです。
棚卸しの手を抜くことは、自ら転職活動の成功を放棄するようなものです。
棚卸しと職務経歴書
過去の経歴や実績を入念に思い出し、整理することで、自分のキャリアを客観的に把握できるようになります。
別の言い方をすれば、自分の行なってきたことの価値や重要性を再認識でき、自分のウリやアピールポイントも明確になってきます。
そうすれば、どんな企業のどんなポジションを目指すべきなのかも明確になりますし、どこにポイントを置いて書類作りをすればよいのかも明らかになります。
もちろん、面接においても自分を適切かつ効果的にアピールできるようになります。
つまり、キャリアの棚卸しは職務経歴書の作成のためだけに必要なわけではなく、転職活動のすべての基本となる作業なのです。
しかし、応募書類の中で棚卸し作業の成果が最も如実に表れるのが、職務経歴書です。
なにしろ数年あるいは数十年ものキャリアを、わずか数枚という紙面の中で説明し、アピールしなければならないのです。
そこに収めるべき情報の取捨選択をいかに適切に行うかが生命線です。
適切な情報の取捨選択の前提は、材料が最大限揃っていることです。
棚卸しを十分に行っていれば、揃えたアピール材料を最大限盛り込むと共に、あぶり出された弱みに対するフォローを行うこともできます。
逆に棚卸しの作業を疎かにすると、自分のウリやアピールポイントがあいまいなため、平板でピントのずれた職務経歴書になってしまいます。
それでは、「あなたを採りたい」と思ってもらうことは難しくなるでしょう。
「評価のミスマッチ」を防ぐには
正直に言えば、「入念な棚卸しをすれば自分の価値やウリがわかる」という上記の説明は、正確ではありません。
というのは、自分を客観視して本当の価値を把握するというのは、実はとても難しいことだからです。
本当の意味で自分を客観視し、価値を把握するためには、自分の中で過去の棚卸しをするだけでなく、「自分を他者と比較する」という作業が必要です。
しかし、多くの人は、特定の業界や特定の会社の中しか知らないため、自分のことをわかっているようでわかっていないことが少なくありません。
他の業界や会社では当たり前のことを過大評価していたり、逆に他の業界や会社から見れば高く評価されることなのにその価値がわかっていないこともあります。
「井の中の蛙」もいけませんし、自分を卑下してしまうのももったいないことです。
そうした「評価のミスマッチ」を防ぐためには、第三者にキャリア評価をしてもらう機会を持つことが大切です。
ハローワークの相談員、人材紹介会社のコンサルタント、それから私のような独立系のコンサルタントもいます。
そのような、「他者と比べる目」を持っている人の意見をもらうことで、より正確に自分を理解・評価することができるでしょう。
まずは自分で徹底的に棚卸しをして自分なりに材料を出しきる。
その上で第三者の意見を聞くことをお勧めします。
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