睡眠の取り方でライバルに差をつける
睡眠の取り方は学習効率に直接影響する
あなたも日常的に体験しているように、睡眠の取り方は、目覚めているときの頭の働きに大きく影響します。でも、どのように眠るのが良いのかをしっかり理解している人は多くないのではないでしょうか。
最近は耳にすることがなくなりましたが、昔は「四当五落」などという言葉がありました。毎日の睡眠を4時間に抑えてがんばった人は受験に合格し、5時間寝てしまったら落ちてしまう、という意味です。
今ではこんな言葉を真に受ける人はいないでしょう。短期勝負ならいざ知らず、受験勉強が長期に渡る難関試験では百害あって一利なしです。
寝不足の状態での勉強では、「がんばっている」という充実感は得られるかもしれませんが、実際の学習効率はがた落ちですし、度が過ぎれば体調を崩して戦線離脱ということにもなりかねません。
逆に、十分な睡眠を取っていれば、短い勉強時間でも集中力は増して十分な成果を得ることができます。
ただ、たくさん寝れば寝るほどいいのかといえば、必ずしもそうではないのが難しいところ。たとえば、
「たっぷり寝たのに頭がボ~っとして集中できない」
「短時間しか寝てないのに頭がスッキリしている」
そんな経験がありませんか?質の良い睡眠を取って学習効率を上げるコツを知っているかどうかが、受験の合否に大きく影響するのです。
レム睡眠とノンレム睡眠
実は、人は寝入ってから目覚めるまで同じ状態で眠り続けているわけではありません。
睡眠中の状態は、大きく「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つに分けられます。
「レム」というのはRapid Eye Movement(素早い眼球運動)の略で、その眼球運動が起こっているかどうかで「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分かれるのです。
睡眠はノンレム睡眠から始まり、両者はだいたい90分間隔で交互に訪れます。
ノンレム睡眠は、脳が深く休息している状態です。
一方レム睡眠は、脳は休息しつつも一定レベルの活動をしている状態で、夢を見るのはレム睡眠のときだといわれています。
「ということは、ノンレム睡眠がたくさん取れればいいんだ」と思うかもしれませんが、レム睡眠にも大切な役割があるのです。
それは、「記憶の定着」です。レム睡眠は、起きている間に見たり聞いたりしたことを、一時的な記憶から長期的な記憶へと固定させる役割があると言われています。
効果的な睡眠の取り方
この90分間隔というのは多少個人差がありますが、頭がすっきりした状態で目覚めるためには、このレム睡眠とノンレム睡眠の切り替わりのタイミングが良いとされています。
ですから、朝起きてすぐに勉強をしたい場合や、少し仮眠を取ってから勉強する場合は、この90分の単位を念頭に置いて睡眠を取るのが良いのです。
つまり、通常の睡眠だと、6時間、7時間半といった単位で眠る、仕事で疲れているときなどは1時間半の仮眠を取る、といった具合です。
また、軽い疲れのとき、あるいはわずかな空き時間があったときは、15分ほど仮眠を取るとかなり頭がすっきりします。
これは、脳が深く休息できるノンレム睡眠を取っているからです。それよりも長く仮眠してしまうと、逆に眠りが深くなりすぎて覚醒に時間がかかるので、短時間で切り上げるのがコツです。
また、お勧めなのは、「昼寝」です。会社の昼休みや通勤電車の中で仮眠するのは、はた目にはみっともないかもしれませんが、受験生にとってはとても有効なものです。
朝起きてから日中ずっと脳が活動している状態だと脳に疲労がたまるので、夜までに一度脳の休息を入れておくことは、夜の勉強のためにとても効果的なのです。
ナポレオンの睡眠時間は3時間だったというのは有名な話ですが、その分昼寝をしていたともいわれています。とても理にかなった睡眠法だったわけですね。
このように90分単位の睡眠と、15分の短眠(?)をうまく取り入れることが、学習効率のアップをもたらすのです。
睡眠の前後の過ごし方がポイント
あなたは、夜の勉強を終えてから寝るまでの時間をどのように過ごしますか?
勉強の緊張から解き放たれて、テレビを観たり、マンガを読んだり、あるいは好きな音楽を聴くかもしれません。寝る前の時間くらい、好きなことをして過ごしたいですよね。その気持ち、よ~くわかります。
でも、資格試験の受験勉強中だけは……
「勉強を終えたらさっさと寝る」
ことをできるだけ心がけてください。
前述のように、睡眠には脳を休める役割だけでなく、起きているうちに取り込んだ情報を、整理し、定着させる役割があることが明らかになっています。
脳に取り込まれた情報は、海馬と呼ばれる器官で一時的に保持されますが、その情報を長期的に保つために大脳に書き込む作業が「レム睡眠」の中で行われるのです。
せっかく夜にがんばって勉強しても、その後に勉強と関係ない雑多な情報を入れてしまうと、海馬に保持されている「短期記憶」が上書きされてしまい、長期的な記憶への書き込みがされなくなってしまうのです。
ちょっと難しいことを書きましたが、要するに、
「確実に記憶したい情報は、眠る直前に取り込むとよい」
のです。だとすれば、一日の最後にざっと総復習することが学習効率を上げることが、よく理解できるはずです。
また、質の良い睡眠から覚めた直後は、脳の働きが一番冴えている時間帯ですから、睡眠中に定着させた情報をざっと再確認すれば、より確実な「長期記憶」にもっていくことができるわけです。
「一日の最後にざっと総復習」
「勉強を終えたらすぐ寝てしまう」
「目覚めたら昨日の内容をささっと再確認」
この学習パターンを心がけるだけで、驚くほど学習効率はアップしますよ!
特に、「記憶力に自信がもう一つ……」という人は、だまされたと思って、ぜひ試してみてください。
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