資格と実務経験との関係
資格を持っているだけでは実務経験には勝てない
転職コンサルタントをしていると、資格についての質問を頻繁に受けます。
最も多いのは、次のような質問です。
「経験はありませんが、資格を取って今の仕事から経理の仕事に転職をしたいと考えています。簿記の2級に合格すれば転職できるでしょうか?」
つまり、実務は未経験の仕事に、資格を取ることで転職ができるか、という質問ですね。
新しい仕事にチャレンジしたいという気持ちはわかりますが、現実問題としてはかなり難しいと言えます(もちろん、独占業務を持つ難関資格などの場合は話は違ってきますが)。
その理由は明確で、転職では資格を持っていることよりも、「実務経験があること」の方が圧倒的に重視されるからです。
経理職に転職を考える人を大きく分類すると、下記の4つに分けることができます。
- 経理の実務経験も簿記の資格もある人
- 経理の実務経験はあるが、簿記の資格はない人
- 経理の実務経験はないが、簿記の資格はある人
- 経理の実務経験も簿記の資格もない人
1.のタイプが最も採用可能性が高く、逆に4.の人が最も採用可能性が低いことに異論はないでしょう。
問題は2.と3.ですが、たとえば、
「経理の実務経験が5年あるが、資格は持っていない」
という人と、上述のような、
「経理の実務経験は全くないが、簿記2級を持っている」
という人が求人に応募してきたとしたら、採用されるのは間違いなく前者の方でしょう。
言うまでもなく、すでに5年も実務経験がある人なら、資格がなくても採用後にすぐに経理実務が務まることはまず間違いありませんが、資格しかない人はイチから実務を覚えていかなければならないからです。
会社が求めているのは、「実務能力」なのです。
つまり、上述のような「資格だけの人」は、応募者の中で3番目の位置付けになります。
「実務経験あり・資格なし」の人に勝てないだけでなく、大勢のライバルの中には高い確率で「実務経験・資格ともあり」の人がいるものです。
そうなれば、資格だけのあなたに勝ち目はないでしょう。
転職は実務経験を積んでから
では、現時点で実務経験も資格もないあなたには、別の仕事に転職することはできないのでしょうか?
決してそんなことはありません。
「実務経験を積んでから」転職を目指せば良いのです。
転職する前にどうやって実務経験を積めば良いのかって?
それは、今の会社の経理の部署に異動するのです。
他のページでお話しているように、それはまさに和多田が実際に行なった方法です。
編集一筋約10年の経験しかなかった私は、編集の仕事をしながら独学で簿記2級の資格を取り、その上で経理課への異動を願い出て、認められたのです。
資格を取っても確実に異動が認められるとは限りませんが、見ず知らずのあなたが採用される転職よりも、あなたのことをよく知っている会社の中での異動の方がハードルははるかに低いはずです。
逆に言えば、社内異動すら受け入れてもらえないようなら、実務経験なしで別の会社に転職することは諦めた方が良いでしょう。
今の会社で資格を取り、実務経験を積むことができれば、あなたは上記の1.のタイプに生まれ変わるわけですから、あなたが転職に成功する可能性ははるかに大きくなっていることでしょう。
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