16倍の効率で学習する方法とは
すべてをマスターしなくても合格できる
難関資格というと、難しい内容を完璧にマスターした人だけが合格できるようなイメージを持っている人がいるかもしれません。
しかし、難関試験の合格者というのは、難しい試験で「必要な点数を取った」人のことを言います。けっして「すべてを完璧にマスターした人」ではありません。
資格によりますが、ざっくり言うと合格のボーダーラインは正答率6~7割くらいになることが多いです。
「完璧主義は資格取得の敵:いい加減なくらいがちょうど良い!」でもお話したように、完璧を目指して勉強することは、合格にはむしろ逆効果になることが多いので注意が必要です。
完璧主義で学習に臨むと、教材を頭から順番に隅から隅まで全部マスターしようとしてしまいがちになります。すると、合否に大きく関わる重要な部分も、そうでない部分も一律に勉強することになります。
時間があり余っている人ならともかく、普通の人は勉強に充てられる時間が限られているので、大事な部分を合格レベルまで勉強することが難しくなってしまいます。特に時間に余裕のない社会人が短期合格を目指すのであれば、完璧主義は捨てなければならないのです。
20対80の法則
資格試験を受験し終えた後に、振り返って愕然とすることが一つあります。
「あんなに苦労して勉強したのに、あれもこれも出題されてなかったじゃないか」
そう、受験時には大変な分量に思われる試験問題も、実際に問われる部分は学んだ全内容の中ではほんの一部分にすぎません。残りの部分に費やした学習は、極論すれば「時間のムダ」だったわけです(あくまで受験にとってみれば、ですが)。
ああ、あの時間を他に回せていたら……(涙)
イタリアの経済学者のパレートが唱えた「80対20の法則」というものがあります。これは、「結果の大部分はごく一部の要因によって決定される」という経験則です。
たとえば、「会社の売上の80%は上位20%の商品による」「社会全体の富の80%は20%の人間に集中している」といった具合です。
資格試験も決して例外ではありません。
問題を分析してみると、数多く出題されたり重要なカギを握っている一部の項目と、出題が少なかったり合否に影響の少ないその他の項目に分かれます。
全体の20%の項目が80%のウェイトを持ち、他の80%の項目が20%のウェイトしかないとすれば、前者は平均の4倍の重要性があるのに対して、後者は4分の1倍の重要性しかありません。
ということは、前者の20%に集中して勉強した人と、間違って後者の80%に集中して勉強してしまった人とでは、理論上16倍も学習効率の差が生まれることになります。
もちろん、実際にはそこまで極端に勉強法が違うことはありませんが、重要部分に集中する意識を持って勉強に取り組む受験生と、「まんべんなく」「しらみ潰しに」勉強しようとする受験生では、最終的な成果に大きな差が出ることは間違いありません。
このことは、頭でわかっていてもなかなか実行しづらいことなので、肝に銘じておきましょう。
「重要な20%」はどこにある?
では、重要な項目かどうかの判断基準は何でしょう?
最も客観的で信頼できる基準は、「過去にどれだけ出題されているか」です。これはどんな資格試験にも当てはまる共通原則です。
膨大な試験範囲の中にも、「その資格を持つべき人は必ず知っておくべき」項目と、必ずしもそうでない項目があります。
前者について「手を変え品を変え」出題されるのが試験というものです。
「もう出ない」ではなく、「また出る」のが過去問なんですね。
ですから、過去に頻出のテーマは、出題の仕方が変わっても正解できるように、他のテーマよりもしっかり時間をかけてマスターしておきます。
一方、出題実績がなかったり一度きりで消えてしまったようなテーマは、「頭の片隅に引っかけておく」くらいのウェイトにしておくのが正解です。
つまり、過去問というのはけっして「過去の遺物」ではなく、「出題可能性の高い問題を集めた最高の予想問題集」なのです。
「過去問を制す者は受験を制す」は、今も昔も変わらない受験の鉄則です。
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