Vol.24 依存
コンサルタントは、顧客にとって頼りがいのある存在でなければならない。
安くない報酬を頂いて仕事をしているのだから、顧客の要望に応えられる必要がある。
そう考えて、毎日受講者のためにできるだけの支援を行っている。
正直なところ、受講料をはるかに超える仕事をしていると自負している。
しかし、それがかえってアダとなるケースが少なくない。
たとえば、どんな些細なことも私に「お伺いを立てて」からでないと行動できない人が出てくるのだ。
「送付状のここなんですけど、こういう書き方で良かったでしょうか?」
「面接のこの質問に対しては、こんな答え方で大丈夫でしょうか?」
「応募を迷っている会社があるんですがどう思いますか?」
そういった電話が日に何度もかかってくるようになる。
これは個人差も大きく、一部の受講者による「頼んだ者勝ち」の状況になることも少なくない。
それでは受講者間の公平を欠くことになるし、私にとってもより生産性の高い仕事の時間が削られ、それは結果的に受講者にとってもマイナスになる。
サービスの提供に一定のラインを明示し、それを徹底できないのは、私がコンサルタントとして未熟であることに他ならない。
それから、転職活動が必要になる度に申し込んで頂く「リピーター受講者」についても気持ちは複雑だ。
ビジネスとしてはありがたいことではある。
しかし、本来であれば一度「受講」→「転職成功」の経験をしてもらえれば、転職に必要なノウハウは一通り身についていなければならない。
それなのに、当たり前のようにまた支援を必要とするということは、私が「過度な支援」を行なっていたことの証拠ではないかと思うことがある。
円滑に転職活動が進むように必要なサポートは行いつつも、自分で考え、動いてもらうべき局面においては突き放すことも大切なのだ。
そうすれば、一時的には受講者の負担が増えても、今後は支援など受けずに自力で新しい職場を手に入れられる「自立したビジネスマン」として活躍できるはず。
私の目標は、信頼されるが、依存されないコンサルタントになることだ。
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