Vol.23 夢と希望
転職と一言で言っても、目指すゴールは人によって大きな違いがある。
誰もが知るような大企業しか考えない人もいれば、中小零細企業でも構わない人もいる。
年収にしても然りだ。
どこを目指し、何で満足するかは個人の自由だが、それを採用側が受け入れるかどうかは別の話だ。
転職支援をしていると、こうした、
「レベルのミスマッチ」
の場面にしばしば出くわす。
つまり、学歴や職歴から見て現実的に難しいレベルの求人を追いかけるケースだ。
これは特に、社会経験の短い若年層に多い。
たしかに、誰でもできれば希望する会社に入りたいし、私もそうなってくれたら嬉しいと思う。
しかし、「どうがんばっても無理」という壁は残念ながら現実としてある。
それを追いかけ続けることは、貴重な時間と労力の浪費であるし、それよりももっと自分にマッチし、自分を活かせる職場を目指し、そこで働く方が本人にとって幸せだと思う。
転職コンサルとしては、そうした「夢と希望」と「現実」をどう折り合わせるかに苦心する。
最初から「それは無理だからやめておけ」と言っても、本人は納得できないだろうし、「万に一つ」ということも無いとは言えない。
そこで、見通しの厳しさは伝えつつも、しばらくは本人の希望を優先して思うままチャレンジさせておく。
そうすれば、いずれ転職市場における「自分の立ち位置」がわかってくるので、適当なタイミングを見計らって、応募方針の見直しをアドバイスしていくのだ。
しかし、受講者の中には、私のアドバイスを受け入れられず、コンサルティングからフェイドアウトしていった人もいる。
その人にとってみれば、私は、
「お金を払っているのに自分の希望をサポートしてくれないダメなコンサルタント」
だったのだろう。
そうした受講者がその後納得できる着地点を見つけ、充実した仕事をしてくれていれば良いのだがと思う。
転職市場は、CMや広告がイメージさせるように甘いものではない。
常に「自分の市場価値」という現実と向き合わないといけないのだ。
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