Vol.13 呼吸困難
私は喉が弱い。
(逆に、「どこが強いのか」と聞かれると困るが…)
だから、コンサルティングの仕事をしていて最もツライのが、
「しゃべる仕事」
である。
最も日常的な「しゃべる仕事」は、受講者とのミーティングである。
30分程の定例ミーティングはまだいいが、受講頂いて最初のヒアリングは約2時間の長丁場だ。
私1人が一方的にしゃべり続けるわけではないが、受講者の情報を少しでも引き出すためにいろんな角度から休みなく質問を繰り返していく。
たとえしんどくても、ヒアリングは適切なコンサルティングには欠かせない重要な作業なのである。
そして、重なる時には1日にダブルヘッダー、トリプルヘッダーとなる。
ヒアリングが1人終わる頃には私の喉はすでに枯れ始めている。
2人目になると、出にくくなった声を補うために余計に声を張り上げるので、ますます喉の枯れはひどくなる。
3人目になると、ガラガラ声で聞き取りにくくなるだけでなく、息がしづらくなって呼吸困難に近い状態になってくる。
休憩をはさんで何とかしのぐが、5分や10分の休憩では回復には程遠く、終わる頃にはまさに息も絶え絶えの状況になる。
もう1つの「しゃべる仕事」は、セミナーである。
以前実施していたあるセミナーは、3時間以上を私1人がしゃべり続けるものだった。
しかも、マイクなしで行なっていたので、マンツーマンのミーティングよりも声を張る必要がある。
当然のごとく、早い段階で喉はやられ始める。
折り返し地点では、本当に残り半分をしゃべり続けられるのか気が遠くなる。
後半は喉が持つことだけを祈りながらひたすら進行するのみ。
本来ならば興が乗り盛り上がるべき終盤は、ままならない声と呼吸で見事に尻すぼみに終わる。
そんな時の徒労感と言ったら言い様がない程である。
できることなら30分に凝縮したセミナーをやれたら良いのにと思う。
今日もヒアリングのダブルヘッダーが待っている。
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