しっかり「失業保険」をもらうための基礎知識
正式な名前は「基本手当」
雇用保険の数ある給付の中のメインである「失業保険」の受給についてお話していきます。
ただ、この「失業保険」は現在では「求職者給付」の中の「基本手当」という名前になっていますので、ここからは「基本手当」と呼んでいくことにします。
基本手当をもらい損ねないためのポイントをしっかり押さえておきましょう。
基本手当をもらえるのはどんな人?
雇用保険に入っていた人
まず、基本手当をもらうための絶対条件は、「雇用保険に入っていた」ことです。
中には雇用保険に加入していない会社もあります(違法です)ので、その場合は会社を辞めても基本手当はもらえません。
また、雇用保険に加入していても、1ヶ月や2ヶ月ではやはり基本手当をもらうことはできません。
ざっくり言うと、1年以上雇用保険に入っていた人が対象です。
ただし、リストラ等のやむを得ない理由で退職した人は、6ヶ月加入していれば支給対象になります。
失業状態にある人
基本手当をもらえるのは「失業状態にある方」です。
会社に勤めている人がもらえないのは当然ですが、会社を辞めていても「失業状態にない」と基本手当はもらえません。
「失業状態」とは、無職であるだけでなく、仕事に就く意志や能力があることが条件になります。
したがって、就職活動の実績がないと働く意志がないものとして支給されませんし、病気やケガ、妊娠などによって働ける状態にない場合も基本手当は支給されません。
(働く意志や能力があることは、「認定日」にハローワークに足を運んで求職活動実績を報告することで示します)
また、基本手当の受給中にアルバイト等でお金を稼ぐと、基本手当が減額されることになります。
基本手当はいつからもらえる?
すぐにでも欲しい基本手当ですが、残念ながらそうはいきません。
基本手当を受給するためには最初に「求職の申し込み」の手続きが必要ですが、そこから7日間は「待機期間」として支給はされません。
本当に失業しているのかをハローワークが確認するための期間で、その間に下手にアルバイトなどをしたりすると基本手当をもらう権利そのものがなくなってしまう可能性があるので注意しましょう。
待機期間の7日間が終わっても、自己都合で会社を辞めた人には、さらに3ヶ月間の「給付制限期間」が待っています。
「自分で辞めたんだからすぐには払わないよ」というわけです。
もし本当は会社に辞めさせられたのに「離職票」に自己都合と書かれてしまうと、3ヶ月もよけいに待たされる(さらに給付日数も減る)ので、該当者の方は求職の申し込みをする時にハローワークに相談しましょう。
リストラ等やむを得ない理由で退職した人には、3ヶ月間の「給付制限期間」はありません。
※実際には、最初の振り込みまでには自己都合の人で約4ヶ月、リストラ等の人で約1ヶ月かかります。
基本手当はいくらもらえる?
基本手当の1日分の支給額のことを「基本手当日額」と言います。
この基本手当日額は、退職前の賃金と年齢に応じて決まります。
表中の「賃金日額」というのは、ざっくり言うと、「退職前6ヶ月間の給料(ボーナスを除く)の合計を180で割ったもの」です。要するに、働いていた時の1日あたりの報酬です。
上の「w」に賃金日額を当てはめて計算すると、基本手当日額(y)が求まります。
でも、実際には自動計算ができるサイトをネットで探した方が早いでしょう。
上の表を見てわかるとおり、どんなに報酬が高かった人でも、基本手当日額は最高でも6,000円台~7,000円台で、多くの人はもっと少なくなります。
基本手当は何日間もらえる?
基本手当がもらえる日数は、「退職理由」「年齢」「雇用保険の加入期間」で決まります。
具体的には下記の通りです。
【自己都合の退職者】
【会社都合の退職者】
【障害者など就職が困難な人】
基本手当はいつまでもらえる?
上の「基本手当は何日間もらえる?」と何が違うのか疑問に思った人が多いかもしれません。
しかし、この「いつまで」の意味は「何日分」という「給付日数」のことではないのです。
基本手当を受給する権利がある人も、いつまでもその権利があるわけではありません。
「いつまでに受給しなければならない」という「賞味期限」のようなものが基本手当にはあり、それを「受給期間」と言います。
具体的には、原則として「退職の翌日から1年間」の間に受給してしまわないといけません。
のんびりして受給を先延ばしにしていると、受給が終わらないうちに受給期間が終了してしまうので注意しましょう。
ただし、出産やケガなどで求職活動ができない人や、長年勤務してきた定年退職者は、ハローワークに申請することで受給期間の延長ができます。