健康保険の基礎の基礎
「不健康」になった時の支え
日本には「国民皆保険」という言葉があります。
これは、日本ではすべての人が何らかの医療保険に入るということを意味しています。
何か当たり前のように感じるかもしれませんが、先進国でもアメリカのように医療保険の未加入者の増加が問題になっている国もあります。
(ちなみに、「国民皆年金」という言葉もありますが、最近は実態にそぐわなくなってきています…)
長いサラリーマン生活の中では病気になったり治療が必要になって医者の世話になることの一度や二度は必ずあるはず。
その時に健康保険に加入していることで軽い自己負担で済むのは非常にありがたく、また安心ですね。
会社を辞めたり移ったりする時には、健康保険についての手続きが必要になりますので、基本的な知識は持っておきたいところです。
2つの健康保険
日本の医療保険には、2つの大きな柱があります。
1つは、サラリーマンが加入する「健康保険」。
もう1つが、会社を辞めた人や自営業者などが加入する「国民健康保険」です。
(上記以外に公務員が加入する「共済組合」がありますが、当サイトは民間のサラリーマンを対象とするので割愛します)
後者の国民健康保険は市町村が運営しますが、前者の健康保険は運営者によって2種類に分かれます。
1.「全国健康保険協会管掌健康保険」
全国健康保険協会が運営するもので、略して「協会健保」と呼ばれます。
2.「組合管掌健康保険」
健康保険組合が運営するもので、略して「組合健保」です。
一般的には、健康保険組合を設立している大企業は組合健保、健康保険組合のない中堅・中小企業が協会健保となります。
提供される医療サービスは類似していますが、その手厚さは、一般的には、
国民健康保険 < 健康保険(協会健保) < 健康保険(組合健保)
となると言えるでしょう。
会社を辞める時に次の転職先が決まっている時は、次の会社の健康保険に加入する他ありませんが、しばらく無職になる場合には、
- 引き続き前の会社の健康保険を継続する
- 国民健康保険に加入する
という選択肢があります(詳細は別途)。
どんな時に保険が使える?
健康保険は、仕事中や通勤途中以外で、病気、けが、出産、死亡した時に、保険給付が行われます。
(仕事中や通勤途中の病気やケガ等は、健康保険ではなく労災保険(労働者災害補償制度)から補償を受けることになります)
なお、本人だけでなく、扶養されている家族も、保険給付を受けることができます。
国民健康保険は仕事中かどうかに関係なく、病気、けが、出産、死亡した時に、保険給付が行われます。
また、家族の扱いは健康保険と異なります。
健康保険と家族
健康保険では、サラリーマンの方の給与の額に応じて健康保険料が徴収されますが、扶養家族も勤務先の健康保険に加入でき、扶養家族が何人でも保険料は変わりません。
扶養家族にできるのは配偶者や子供だけでなく、一定の要件を満たせば離れて暮らす父や母も扶養に入れることができます。
1人の給与にかかる保険料負担だけで、扶養家族全員が保険証を持つことができるわけです。
一方、国民健康保険の方は仕組みが異なります。
国民健康保険は市町村が運営するため、市町村ごとに計算方法は異なりますが、世帯の人数に応じて保険料が加算されるようになっています(実際には大半の市町村では「保険料」ではなく「国民健康保険税」という税金です)。
つまり、健康保険のような扶養の考え方が当てはまらないため、人数が増えるとその分保険料負担は大きくなります。