退職前に有給休暇をしっかり取得する
有給休暇は労働者の権利
「有給休暇」
私がサラリーマンを辞めて失ったもので、ボーナスと並んで甘美な響きの言葉です(苦笑)。
有給休暇は労基法で定められた労働者の権利ですが、会社によってはなかなか取得できないことも少なくありません。
ですから、会社を辞める時くらいはなんとかしっかり消化して、有意義に使いたいものです。
(私もそれまで思うように取れませんでしたが、退職時には勇気を出して取れる分を使いきりました)
いちおう有給休暇のキソをおさらいしておきましょう。
【有給休暇の付与日数】(フルタイム勤務の場合)
有給休暇は6ヶ月継続勤務(その間8割以上要出勤)すると10日もらえ、以降上記のように1年経過ごとに増え、最大で20日間もらえます。
ただ、実際に取得できているのは平均で半分弱くらい(48.1%「平成23年就労条件総合調査」による取得率データ)のようです。
与えられた有給休暇の取得期限は2年なので、もらった年に使えなかった分は翌年に限って繰り越すことができます。結局使い切れずに消えてしまうことが多いわけですが…
労働者は「時季指定権」という権利が認められていて、本来は有給休暇を好きな時季に取ることができます。
ただし、会社の繁忙期などに従業員がいっせいに有給休暇を取ったりすると業務が回らなくなるので、会社にも申し出られた有給休暇の時季を変更できる「時季変更権」というものが認められています。
退職時に有給をしっかり取得する
ある程度の年数を勤務した人なら、退職時には1ヶ月分くらいの有給休暇が溜まっている人が少なくないでしょう。
サラリーマンの人が在職中に連続して取れる休みは、せいぜい1週間か10日くらいのものではないしょうか。
仕事の引き継ぎをしっかりやってもらうことは前提として、退職時くらいはまとまった休暇を取ってもらいたいものです。
会社によっては、退職時に有給休暇を取ることを認めないと言ってくることがあるかもしれませんが、上述のとおり労基法で定められた権利ですので、耳を貸す必要はありません。
また、上記の「時季変更権」を理由に退職時の有給消化を認めない会社もあるかもしれませんが、これも多少会社の業務が忙しい程度で行使できる権利ではないので気にすることはありません。
ただ、できることなら揉めることなくスムーズに取得したいですよね。
頑固な上司が認めてくれないだけなら、人事・総務の担当者に有給取得の可否について言質を取るのも一法です。
人事・総務の担当者ならまず有給休暇の権利を理解しているはずですから、NOとは言えないはずです。
「人事に相談したら法的に権利があると言われました」と言えば、上司も渋々認めざるを得なくなるでしょう。
徹底的に有給を活用する
ここからの話は万人に勧められる話ではありませんが、より貪欲に有給休暇を活用したいという人に。
有給休暇付与日を待って退職する
上記のように、有給休暇は勤続6ヶ月から発生し、以後1年毎に積み増されていきます。
しかし、中途採用が多い企業の場合、入社日がバラバラになるので、有給休暇を付与するタイミングも毎年バラバラになってしまいます。
その場合管理が煩雑になるため、実際の入社日に関わらず、すべての従業員に一斉に1年分の有給休暇を与える企業が多くなります。
(ただしその場合、入社のタイミングによっては最初の6ヶ月経過時に有給休暇がもらえなくなる可能性があるため、入社初年度については個別対応されるのが通例です)
あなたの会社の「有給休暇付与日」がいつか、就業規則をチェックしてみましょう。
たとえば、10月1日に有給休暇を一斉に付与する会社を辞める場合、8月や9月に辞めずに退職日を10月中にすれば…
新しく付与されたばかりの有給休暇をすぐに使いきって退職する、ということも可能なわけです。
もちろん、それを実行するにはかなりの勇気が必要でしょうが…
有給休暇を買い取ってもらう
実際には存分に使い切るどころか、まともに消化できないまま退職日を迎えざるを得ない人もいるでしょう。
「くそ~、もったいない。残った有給休暇を会社が買い取ってくれないかな」
と思う人もいるかもしれませんね。
そもそも有給休暇は、
「仕事で疲れた労働者に休養の機会を提供し、心身の健康を維持してもらう」
ための休暇であり、休めなかったからと言って代わりにお金をもらうというのは筋違いです。
「買い上げてもらえるなら休まずにお金にしよう」と思う労働者も出てきますから、法は会社が「事前に」有給休暇を買い取ることを禁じているのです。
しかし、例外として、「2年間の消滅時効や、退職によって請求権が消滅する場合」は有給休暇の買い取りも違法でないとされています。
したがって、退職時に余った有給休暇を買い上げてもらうことは不可能ではありませんし、実際に買い上げられた事例もあります。
ただし、あくまでも「違法ではない」のであって、会社には買い取る義務はありませんので、あとはあなたの交渉力次第です。