月末日を退職日にすると損をする?
30日退職と31日退職ではどちらが得か?
社会保険について少し勉強すると、退職時の保険料負担を減らす「裏ワザ」があることがわかります。
健康保険や厚生年金の保険料は、
「資格喪失日の属する月の前月まで徴収される」
と法律で定められています。
この中の「資格喪失日」というのは、「退職日の翌日」を指すので、たとえば、
10月31日に退職した場合
「資格喪失日」は11月1日で、「資格喪失日の属する月」は11月となり、その前月の10月まで保険料が徴収される。
10月30日に退職した場合
「資格喪失日」は10月31日で、「資格喪失日の属する月」は10月となり、その前月の9月まで保険料が徴収される。
という違いが生じます。
つまり、退職日を月末日の前にした方が、月末日を退職日にする場合よりも、社会保険料が1ヶ月分少なくて済むということです。
健康保険や厚生年金の保険料は「後払い方式」で、毎月給与から天引されている保険料は、実は前月分のものなのですね。
給与明細を見ればわかるように、1ヶ月分の社会保険料はバカにならない額になりますから、退職をたった1日ずらすだけで払わなくて済むならそうしたいと思いますよね。
ただ、目先の支払いが避けられることは事実ですが、それが必ずトクになるとは限らないことに注意が必要です。
年金と健康保険への影響
同じように保険料が徴収される厚生年金と健康保険ですが、月末日の前に退職するかどうかによる影響は、微妙に異なります。
年金について
年金の場合、加入期間が1ヶ月短くなればその分将来受け取る年金額は減ることになります。
(そもそも原則として25年以上の納付期間がないと年金はもらえないので、その1ヶ月の違いがあとで大きな意味を持ってくる可能性もあります)
代わりにその1ヶ月は国民年金に加入することもできます(というよりも、正確には「加入しなければならない」のですが)。
しかし、保険料が厚生年金に比べて安い代わりにその分将来の年金は減りますし、1ヶ月だけわざわざ国民年金に加入するのも手間です。
退職後もしばらく会社勤めはしない人はともかく、翌月から他社への就職が決まっている人なら、退職日を月末日前にするメリットは年金についてはあまり無いと言えるでしょう。
健康保険について
健康保険の方はそれなりのメリットがあると言えるかもしれません。
10月30日に退職して翌月の11月1日に次の会社に転職する場合、退職日の10月30日までは前の会社の健康保険が使え、11月1日からは次の会社の健康保険が使えます。
ですから、空白の10月31日さえ無事に過ごせば、デメリットなしに1ヶ月分の健康保険料を浮かせることができます。
(これも「国民皆保険」と言って、本来は短い期間であっても何らかの健康保険制度に加入しなければなりませんが)
ただし、傷病手当金や出産手当金などのように、退職後も受給するには「継続して1年以上被保険者」であることが求められるサービスもありますので注意が必要です。
結論としては、「目先の支出をどれくらい重視するか」の考え方次第、と言えるでしょう。