退職は計画的に行うべし
退職のタイミングと手順が肝要
退職関連の手続きで1つ言えることは、
「辞めてしまってから打てる手はほとんどない」
ということです。
一度退職に踏み切れば、後は流れに従って進むだけ。
ですから、「いつ飛び込むのか」については、細心の注意を払う必要があります。
倒産などの外的要因による場合は別として、無計画に突然会社を辞めることは絶対に避けなければなりません。
それによってあなたは大きな損失を生じる可能性があるからです。
退職を考える際には、長期・中期・短期のレベルのスパンで最適なタイミングを考える必要があります。
長期スパン
1年~数年のスパンで退職のタイミングを計ります。
20代の人なら、一通りの経験が積めた30歳前を「売りどき」として、他社で自分の力を試したいと考えるかもしれません。
あるいは現在30代半ばの人なら、40歳の大台に乗る前が転職の「ラストチャンス」と考えるかもしれません。
または、会社の業績の悪化などの事情で、好まずして退職を考えざるを得ない人もいるでしょう。
退職の目標時期を決めたら、それまでに業務経験・実績をできる限り積んだり、資格を取得したりして、自分のアピールポイントを増やし、キャリア評価を高めることに努めます。
またその間に、会社の業績や見通し、あるいは自分の社内での評価や見通しを客観的に見極めつつ、転職市場やその中での自分のキャリア評価の情報をできる限り集め、退職の実行の可否やタイミングを計ります。
また、退職金の受給要件や退職後の失業保険の受給日数なども、退職のタイミングの判断材料になるかもしれません。
中期スパン
退職の実行が現実的となった時には、1年以内の月単位で実行スケジュールを考えることになります。
多くの人にとっての関心事は、「ボーナス」でしょう。
もらえるものはしっかりもらってから辞めたいというのは人情です。支給条件を予めしっかり確認した上で退職のタイミングを設定しましょう。
もちろん、退職によって会社や部署に迷惑をかけないよう、仕事の状況にも配慮した上でタイミングを設定したいもの。繁忙期は避けて無理の無い時期に行うことが理想です。
なお、退職のタイミングの設定には、「退職してから転職活動を行う」か「転職先が決まってから退職するか」が大きく関わってきます。
私は後者を強くお勧めしますが、その場合も、
- 転職活動に慣れている
- キャリア評価が高い
- プロの転職サポートを受ける
などに該当する人なら3ヶ月以内での内定獲得も可能でしょうが、そうでない場合はもっと期間がかかる可能性が高いことを想定しておく必要があります。
短期スパン
退職まで3ヶ月以内の「直前期」は、最も慎重かつ確実なスケジューリングと実行が求められます。
退職の意志をいつどのように伝えるのかが、スムーズな退職が実現するかに大きく影響します。
早すぎても遅すぎても問題が生じる可能性があるため、タイミングは慎重に見極める必要があります。
そして、退職日をいつに設定するかも、ボーナスや退職金、社会保険など様々な計算に影響してきますので、極めて重要です。
また、円滑な退職には十分な業務の引き継ぎが必要です。引き継ぎ相手の都合も含めて必要な期間を計算し、つつがなく実行しましょう。引き継ぎにはあなたの人間性が表れます。
退職に伴う手続きは総務・人事から指示があるでしょうが、言われるままに従うのではなく、不審な点は確認できるくらいの予備知識を持ってあたりたいところです。
そして有給休暇。労働者の権利ですので、未消化分はできるだけ取得できるようにスケジュール調整および根回しを行いましょう。
なお、退職と同時に転職しない場合は、退職後に自分で行わなければならない社会保険関係の手続きがあります。それらは期限があるため、期限内に確実に行う必要があります。
それらすべてをやり遂げて初めて、本当の意味であなたは「退職に成功した」と言えるのです。
以上、ここでは概要をお話しましたが、詳しくは個別に別ページで説明します。