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本当に氷河期を脱した?現在の転職市場

求人倍率は改善しているが…

 

ここ最近、特に2008年のリーマン・ショック以降、「転職氷河期」という言葉を見かける機会が増えました。

転職の基本と戦略・転職氷河期|幸せなサラリーマン講座

 

転職氷河期というのは転職市場の大変な厳しさ、冷え込みを意味していますが、それがどの程度のものかの実感は、その人が置かれている状況によってかなり異なります。

 

ここで少しだけ統計的な話を紹介しておきましょう。

 

求職者1人あたりの求人数を意味する「有効求人倍率」を厚生労働省が発表しています。

 

年度単位では、2009年度にこの有効求人倍率(新規学卒者を除き、パートタイムを含む)が「0.47」を記録しました。

 

つまり、パート仕事を含めても、求職者1人に対して求人数が0.5未満しかない状態、別の言い方をすれば、1つの求人を求職者2人以上で取り合う状態だったことになります。

 

(※あくまでも厚労省が把握しているハローワーク求人に限った数字であり、ハローワークを通さない民間の職業紹介などの求人数は含まれていないことに注意が必要です。

 

極めて深刻な状況でしたが、その後数字は着実に改善し、2013年末には単月でついに「」を超えるまでになりました。

 

求職者1人につき、1件以上の求人があるということですね。

 

これは喜ばしいことではありますが、これだけで転職氷河期を脱したというのはあまりにも短絡的であり、いくつも考慮すべき要素があります。

別の角度から見た日本の転職市場

 

まず、ここで算出された数字は、各求職者の希望や条件に合っている求人かどうかとは無関係なものだということです。

 

たとえて言うなら…

 

世の中には男性と女性がほぼ同数いる、つまり結婚希望者とほぼ同数の異性が存在するので、「有効『求婚者』倍率」はほぼ。だから結婚はできるでしょ?と言うようなものです。

 

頭数さえ揃っていれば良い、ってものじゃないですよね。

 

実際、求職者のうち、最終的にハローワークで就職が決まった人の割合は、1割にも達していません

 

仕事の種類で言えば、医療・福祉業界やIT業界など、特定の業界の求人倍率が1を大きく上回っている一方で、多くの業界では1を下回っています。

 

それら特定業界以外を目指す人にとっては、とても仕事が豊富にあるとは感じられないでしょう。

 

また、上記の数字はパートの仕事を含んだものであり、正社員に限定すると数字はもっと低くなります。

転職の基本と戦略・転職氷河期|幸せなサラリーマン講座

 

残念ながら統計によれば非正社員の割合は過去最高(38.2%:2013年)になっており、雇用の非正社員化は着実に進んでいます。

 

ちなみに、2013年の総務省発表の就業構造基本調査によれば、過去5年間では転職前に正社員だった人のうち、実に40.3%が非正規雇用者になったとのこと。

 

また、年齢格差にも目を向ける必要があります。

 

法律によって制限されるようになったものの、募集要項の中に「○歳以下」という年齢条件の書かれた求人は今でもかなり見られます。

 

また、募集要項に明示されなくても、採用側の本音のニーズに厳然たる年齢格差が存在することは明白です。

 

こうした「非正社員化」「低年齢化」に伴い、サラリーマンの平均年収は大きく下がっています。

 

したがって、正社員でそれなりの待遇を希望する人にとっては、確実に厳しさは増しているわけです。

 

また、忘れてならないのが地域格差です。

 

東京や愛知など1を大きく超える地域がある一方で、沖縄や鹿児島など、東京や愛知の半分に満たない求人倍率の地域もあり、地方の厳しさは想像以上のものがあります。

 

結論としては、

 

  • 市場に出回る仕事の数自体は回復基調にあるが、十分というには程遠い。
  • 「非正社員化」は過去最高となり、正社員として従来通りの待遇を得ることは難しくなっている。
  • 中でも中高年や地方在住者にとっては想像を超える厳しさがある。

と言えるでしょう。

 

景気変動等によって雇用も短期的には回復することがありますが、長期的な日本の経済見通しは決して楽観できません。

 

転職氷河期を脱したというのは表面的な見方であり、転職市場の厳しさは今後も長期的に続くと考えるべきでしょう。

 


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