会社選びの判断基準:企業評価編
その会社、ホントにだいじょうぶ?
転職コンサルタントをしていて辛いことの1つが、転職をした受講者から、すぐに会社を辞めたという連絡をもらうことです。
私も辛いですが、せっかく苦労して、そしてあんなに喜んだ転職からいくらも経たないのに、本人の落胆がどれ程のものかは推して知るべし、です。
短期間で退職してしまうことは、次の転職にはかなり響きますから、「こんな会社だとは思わなかった」という事態はできる限り避けねばなりません。
入社前に会社の内部について得られる情報には限りがありますが、少しでも会社を見誤るリスクを減らす評価軸についてお話したいと思います。
評価軸1:求人状況
- 年中同じような求人を出し続けている会社
- 会社規模に不釣り合いなほどの人数を募集している会社
である場合、問題がないか疑ってみる必要があります。
事業拡大などで一時的に大量の増員が必要など、正当な理由があれば良いですが、退職が多くて欠員補充に追われているような会社である可能性があります。
その上で、雑な面接なのに1回で採用が決まったなど、粗い選考をする場合は、従業員を大切にしない企業である可能性が高くなります。
評価軸2:社歴
その会社が創業して何年の歴史があるかは、多くは企業のホームページを見れば確認できます。
若くて勢いのある会社もありますが、今や「会社の寿命10年時代」と言われる時代です。
数十年といった長い歴史のある会社なら、それだけの年数を生き残るだけの何かがあるはずです。
一方、創業してまだ数年という会社は、会社の成長と共に高いポジションや待遇を得られるチャンスもあります。
しかし、先がどうなるか不確定要素が大きく、「ハイリスク・ハイリターン」の選択肢と言えるでしょう。(ただし、大手企業の子会社の場合は別です)
評価軸3:規模
規模を計る主な指標は、従業員数や売上高などです。
大手企業でも大規模なリストラや大幅な売上減に直面することがありますが、裏を返せば、まだそれだけの余力があるということです。
零細企業だと潰れてしまうような荒波も、ある程度の規模の企業なら乗り越えられる可能性が高まります。
ちなみに、中小企業基本法による「中小企業」の定義は下記の通りですが、全企業の99%以上が中小企業に該当します。
(中小企業行HPより)
「迷ったら大きい方」というのも1つの考え方です。
評価軸4:業績の推移
ここ数年の売上や利益などの変動をチェックしましょう。
一時的な不振はともかく、売上の減少や赤字が続いているようなら、今後を託す企業としては甚だ心もとないでしょう。
上場企業なら詳細な情報の開示義務がありますから、情報には困りません。
自社サイトや金融庁サイト内の有価証券報告書、あるいは「会社四季報」などの書籍など、調べる方法はたくさんあります。
しかし、中小零細企業の場合はほとんど情報がありませんから、下記のような信用調査会社のサービスの利用をお勧めします。
信用調査とは、その会社が「取引先としてどの程度信用できるか」ということを調べたものであって、転職先としてどうかを調べたものではありませんが、その会社の経営状態を知る上ではかなり参考になります。
帝国データバンク、東京商工リサーチなどの企業データベースが1件1,000円程度の料金で閲覧でき、企業の規模や過去数年の業績などを見ることができるだけでなく、「評点」として100点満点での企業の与信評価がされています。
10名以下の小規模企業でも情報が取得できることが多いので、試してみる価値はあります。
なお、「東京しごとセンター」では「帝国データバンク」「東商信用録」のデータベースが無料で閲覧できるようですので、利用できる人はそちらを使うと良いでしょう。
もう少しお金をかけても徹底的に企業調査をしたい人は…
「NIKKKEI goo」では、特定の企業について、「新聞・雑誌の関連記事」や、「企業情報」「人事情報」「財務情報」「信用情報」などを瞬時に検索することができます。どの範囲の情報を取るかによりますが、数千円程度の費用がかかることと、ある程度の規模の企業に限られることがネックですが、使える人にはありがたいサービスです。
評価軸5:経営者との相性
企業にとって経営者の人格や資質というのはとても大きな要素であり、特に中小企業の場合は、社長で決まると言っても過言ではないほどです。
中でも一族で固められたオーナー企業などでは、社長の力は絶対的であり、また経営層が一新される可能性もほとんどありません。
ですから、そうした企業では「その社長のもとでやっていけるのかどうか」ということが、極めて重要な問題になります。
面接で社長に対して「違和感」を感じたとしたら、その感覚を無理に抑えようとせずに、素直に耳を傾けることも必要です。
内定企業にあなたはどれだけの点数を付けられますか?