内定の定義を知っておく
知っているようでわかっていない内定の意味
転職活動を始めたら、目指すは「内定」の2文字。
「あなたは内定です」
そう言われたら飛び上がる程嬉しいですが、ちょっと待って下さい。
あなたは内定とはどういうことか、本当に理解していますか?
「どんな手段やタイミングで正式に内定を得たことになるのか」
「内定にはどれ程の効力や拘束力があるのか」
「内定と内々定とはどう違うのか」
「内定を受諾した後に断ることはできるのか」
そういった疑問にあなたは明確に答えることができますか?
目指すものの本質が理解できていないと、せっかく内定を獲得しても、取り消しや思わぬトラブルに遭遇することになりかねません。
自信を持って内定獲得に挑めるように、ここで頭の中を整理しておきましょう。
内定とは何か
内定とは、一言で言えば「雇用の約束」です。
新卒者の場合、倫理憲章上10月までは内定を出すことができないため、それ以前は「内々定」の扱いとなります。
一方、転職者の場合はいつでも内定を出すことができ、その時点で「あなたを正式に雇用することを約束します」という意味になります。
したがって、転職の場合は「内々定」というものは本来は存在しませんが、内定を書面で通知する前の口約束の段階を「内々定」と呼ぶことがあります。
会社側から内定の意思表示があったとしても、実は正式には内定は成立していません。
あなたはその内定を断ることができますし、会社側も「ゴメンゴメン、やっぱり無かったことにして」と取り消すことも、一応は可能なのです。
会社から内定通知を受けた後で、あなたが内定を承諾した時に、初めて本当の意味で内定が成立します。
内定を取り巻く問題
内定成立は、同時に雇用契約が成立したことを意味するので、その後の「内定取り消し」は「解雇」に相当し、余程のことがない限り認められません。
この「内定取り消し」は、一時期大きく採り上げられて社会的な問題となりましたね。
法的には、口頭での約束でも契約は成立しますので、会社から電話で内定を通知され、その電話で承諾しても、内定は成立します。
しかし、口頭では証拠が残らないため、「言った」「言わない」のトラブルが生じる可能性があります。
それを避けるために、会社からは「内定通知書」、求職者からは「内定受諾(承諾)書」「入社誓約書」といった書面を取り交わすのが一般的です。
(書面を交わさない会社も少なくありませんが…)
それでは、内定受諾後に求職者側が「内定辞退」をすることは認められるのでしょうか?
結論から言えば、可能です。
もちろんモラル的な問題はありますが、法的には原則として問題ありません。
憲法第22条によって基本的人権の一種として職業選択の自由が定められており、雇用契約よりも就職の自由の方が優先されるからです。
だからと言って安易に内定を承諾することは避けるべきです。
(場合によっては損害賠償請求の対象になることもあります。詳細は別途説明します)
しかし、求職者にとって企業の選択は人生を左右する重要な問題ですから、「受諾した後でも断るという選択肢がある」と知っておくことは、企業選定の上で大切な要素となります。