内定企業の情報を収集する
「こんなはずでは」と後悔しないために
転職活動で苦労の末に内定をもらうと、喜びや、転職活動から開放されたい気持ちから、その会社の良い面だけを見ようとしがちです。
「苦労して就職できた会社だ、きっと悪いところじゃないよ」
俗に言う、「片目をつぶる」という状態です。
しかし、あなたがどう思おうと、会社の現実は変わりません。
残念ながらとても勤め続けられる会社ではないことがわかり、短期で退職となると、以前よりもさらに不利な条件での転職活動を強いられる、「負のスパイラル」に陥ることになります。
そんな失敗をしないためには、入社を決める前にできる限りの情報を集め、客観的に判断することが不可欠です。
ポイントは、いかに「ホンネの情報にアクセスできるか」です。
ここでは、多くの費用をかけずにできる会社情報の調べ方についてお話します。
企業情報の具体的な収集方法
インターネット上の検索
最も手軽で費用も掛からないので、最初に手を付ける方法です。
企業のホームページは、すでに面接前にチェック済みのはずですし、「表向き」の情報しかありませんので、最終的な企業判断にはあまり役立ちません。
Yahooなどの検索エンジンで、
「社名」
「ブランド名」
「商品名」
「サービス名」
などと「評判」「口コミ」などの複合キーワードで検索すると、社会の中でその会社がどのように評価されているかをある程度調べることができます。
ただし、期待するような情報にたどり着くのに手間がかかって効率が悪いケースが多いでしょう。
口コミサイトの利用
転職を考える上でもっと直接的な情報は、その企業の従業員やOBによる生の評価や、給与や残業時間などの労働条件ですね。
現在ではそのような情報が取れる「口コミサイト」があり、有名なものとしては下記のようなサイトがあります。
情報を閲覧するのに、在籍経験のある企業の口コミを提供する必要があったり、閲覧料を払う必要があったりする等、良いことづくめではありません。
しかし、貴重な情報がパソコンの前に居ながらにして得られるのですから、私は内定企業についてこれらのサイトから情報を取ることは、ある意味必須なことだと思います。
ただし、得られる情報にはやや偏りがあることを理解した上で活用する必要があるでしょう。
なぜなら、このサイトに書き込んだ人は、原則として、
- 過去に転職経験がある
- 現在転職したいと考えている
人であることになります。
つまり、勤めている会社に満足していて転職することなどまったく考えていないような人は、このサイトに書き込むことがないのです。
したがって、書かれていることが間違いではないとしても、企業に対しての不平不満やネガティブな意見が出やすくなる、ということは頭に入れておきましょう。
また、ある程度の規模の企業でないと情報が集まらないことも事実です。
法務局で調べる
小規模・零細企業の場合は、ネットで情報収集することもままなりません。
そんな場合は、会社の所在地を管轄する法務局に足を運んで登記簿を調べることで、
- 設立年月日
- 事業内容
- 資本金
- 役員の人員構成
などの基本情報を確認することができます。
これによって、
「会社は実在しているか」「求人情報とのギャップはないか」
といったことは確認できますが、会社の中の詳しい情報などを知ることはやはりできません。
信用調査会社のサービスを利用する
ネット検索などでは情報が取れない、比較的規模の小さい会社の情報を手に入れたい、という場合に使えるのが、信用調査会社のサービスです。
信用調査とは、その会社が「取引先としてどの程度信用できるか」ということを調べたものであって、転職先としてどうかを調べたものではありません。
しかし内容的には、就職先として大丈夫かどうかの客観的な判断材料としても使えます。
本格的な信用調査には多額の費用がかかりますので、ここで紹介するのはあくまでも簡易版のデータベースとなりますが、情報がほとんど取れないような会社の場合には特に役に立つでしょう。
私がコンサルティングの受講者にお勧めしているのは、下記のサービスです。
帝国データバンク、東京商工リサーチなどの企業データベースが1件1,000円程度の料金で閲覧でき、企業の規模や過去数年の業績などを見ることができるだけでなく、「評点」として100点満点での企業の与信評価がされています。
(ちなみに、帝国データバンクによれば「40点台後半」の企業が最も多いそうです)
10名以下の小規模企業でも情報が取得できることが多いので、試してみる価値はあります。
なお、「東京しごとセンター」では「帝国データバンク」「東商信用録」のデータベースが無料で閲覧できるようですので、利用できる人はそちらを使うと良いでしょう。
従業員に直接聞いてみる
最も新鮮な企業情報を得る手段は、
「従業員に直接聞いてみる」
ということです。
といっても、人事部などを通して話を聞ける従業員を紹介してもらう、というのはあまりお勧めできません。
「余計なことを言うなよ」
という圧力がかかっていて、ホンネを語ってくれない可能性が高いからです。
あなたに行動力があるなら、昼休みや終業後に会社や店舗から出てきた従業員に声をかけるなどして、「直接つかまえる」のが、ホンネの話を直接聞くのに一番有効な手段です。
もちろん、入社した後に影響しないように、丁寧かつ誠実な接し方をすべきことは言うまでもありませんが。
声をかけないまでも、朝夕に会社の周辺を観察するだけでも、およその勤務時間や残業の有無、従業員の服装や表情など、得られる情報はかなりあります。
いずれにしても、本気でその会社のことを知りたいのであれば、ある程度の手間やお金をかけることは必要でしょう。
会社選びはあなたの一生を左右する重大な問題なのですから、入社する前にできるだけのことをして、リスクを最小限にしておくことをお勧めします。