条件外応募の実際を理解する:具体的事例説明
条件外応募の典型的ケース
条件外応募のニュアンスを理解してもらうためには、具体的な事例を見てもらうのが効果的でしょう。
ここでは、その典型的なケースを紹介します。
【求職者データ】
- 45歳男性 Aさん
- 営業畑一筋
- 前職の役職は課長
- 前職の年収は600万
【求人案件データ】
- 株式会社B不動産
- 年齢は35歳まで
- 営業係長(前職者退職のための欠員補充)
- 想定年収は450万程度
年齢、ポジション、想定年収いずれを見ても、Aさんの属性とはかなりズレていることがわかります。
ふつうならこの条件では応募対象から外してしまうでしょう。
しかし、条件外応募に取り組んでいるAさんは、
「営業の係長求人か、オッケー」
と、平然と応募します。
諸条件は食い違っていても、営業職という職種は合致しているからです。
ただし、Aさんは単純に係長のポジションにそのまま応募したのではありませんでした。
送付状に「課長あるいは課長候補としての採用」を検討頂きたい旨を書いて応募したのです。
条件外応募では、自分に合ったポジションでの採用を働きかける
条件外応募のキモは、条件外の求人のポジションにそのまま応募するのではなく、
「自分が望む/自分に合ったポジション」
で採用してもらえるよう働きかけることにあります。
「そんな自分に都合の良いことを言ったら採用されないのでは?」
と思うかもしれませんが、そうではないのです。
上記の例で言えば、45歳のAさんが35歳までを想定している係長ポジションにそのまま応募しても、そのポジションで採用される可能性はほとんどありません。
なぜなら、Aさんを係長として採用することで年齢構成がいびつな組織になってしまいますし、無理してAさんを係長に据えなくても、他にふさわしい年齢・キャリアの応募者がいくらでもいるからです。
また、35歳までを想定している求人に対して45歳のAさんが普通に応募したのでは、ただの「非常識応募」と受け取られてしまいかねません。
しかし、Aさんが係長ではなく「課長あるいは課長候補」として応募してきたらどうでしょうか。
Aさんは他の若い応募者に混じって係長候補として選考されるのではなく、あくまでも「課長あるいは課長候補」としてどうか、という目で見られることになります。
もしその会社の現職の営業課長の評価があまり高くなかったとしたら、その後任の候補として採用が検討される可能性が出てくるのです。
待遇にも目を向けてみると、仮にAさんが一般応募で係長として採用されることができたとしても、待遇は係長相当のものになります。
しかし、条件外応募によって課長として採用されれば、当然待遇も課長相当のものになりますから、待遇面でも自分の希望に近いものになることになるはずです。
もちろん、上記は理想的に話が進んだ場合のことであり、その確率は決して高いとは言えません。
しかし、自分の属性・キャリアと異なる求人にそのまま一般応募するよりも、成功確率は間違いなくアップするでしょう。
応募求人と応募方法の関係
ここで、Aさんが選択する応募求人と応募方法の関係について整理しておきましょう。
① 課長職の求人に一般応募をする場合(表の右上)
営業課長経験者のAさんが、営業課長職の求人にそのまま応募するケースです。
いわゆる「顕在需要1」への応募であり、最もスタンダードな応募活動と言えます。
待遇も仕事内容もAさんにとってふさわしく、採用されれば申し分ない求人ですが、難点は同じような属性のライバル達との競争に勝たなければならない、ということです。
② 係長職の求人に一般応募をする場合(表の左下)
営業課長職での求人でなかなか採用が決まらず、応募先が無くなってきたAさんが、営業係長職の求人(「顕在需要2」)にそのまま応募するケースです。
同年代との同条件での争いではなく、若年層が求められる求人に中高年のAさんが挑んでいくのですから、最初から勝ち目は薄い応募です。
万一運良く採用されたとしても、課長経験者のAさんにとって満足できる待遇である可能性は低いでしょう。
③ 係長職の求人に条件外応募をする場合(表の左上)
このページで見た、「顕在需要2」への条件外応募のケースです。
係長職の求人に課長職での採用を願い出る人は他にまずいませんから、競争はほぼありません。
そして、もし希望通り採用されれば、待遇も望ましいものが期待できます。
もちろん、成功確率が高いとは言えませんが、①「顕在需要1への一般応募」では結果が出ない人は、十分検討するに値する選択肢なのです。
(Aさんが課長職の求人に対して係長として採用を願い出る④のケースは非現実的なので割愛します)
上記はあくまでも条件外応募の典型的な一例に過ぎません。
大切なことは、「求人条件を絶対視せずに積極的に応募する」ということと、「できるだけ他者と競争しないで済むことを考える」ということです。
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