退職金の基礎知識
あなたは退職金をいくら受け取れる??
私はサラリーマンを辞めてもう十数年になりますが、退職時には退職金を頂きました。
金額はたしか200万円ほどだったと記憶していますが、「12年近く勤務してこれだけか…」と思ったものです。
そして、あっという間になくなってしまったような…(苦笑)
でも、まだもらえただけ幸せだったかもしれません。
一般的な退職金制度では長く勤めるほどたくさんもらえるようになっており、10年程度では支給されない会社も少なくありません。
また、そもそも会社には退職金を支払わなければならないという義務はなく、就業規則に制度を定めて初めて支払い義務が生まれるものだからです。
実際、退職金制度のない会社もありますし、退職金制度を設けている会社は年々減少傾向にあります。
厚生労働省が数年ごとに実施している「就労条件総合調査」によれば、1993年に何らかの退職給付制度(一時金・年金)がある企業の割合は92.0%でしたが、2013年には75.5%にまで減っています。
2007年頃に団塊の世代が大量に定年を迎えましたが、この時には「退職金倒産」という言葉が広まったほど、企業の退職金支払いの負担が問題になりました。
企業はこの退職金負担を回避する傾向にあり、退職金を支払う会社もその支給水準はやはり低下傾向にあります。
だからこそ、受け取れるだけでもありがたいものですが、受け取れる金額は会社によってかなり違います。
2013年「就労条件総合調査」によれば、下記のようになっています。
(表の上半分が平成24年、下半分が平成20年の数字です)
これを見ると、勤続35年以上の大卒者の退職給付額は2,156万(平成20年調査時は2,491万)となっており、2,000万円以上の退職金が手に入ったことになります。
(しかし、300人未満の企業を対象とした東京都産業労働局の調査では、大卒者の定年退職金は1,224万円となっており、かなりの開きがあります)
公的年金の将来が怪しいだけに、老後の生活資金として退職金は非常に貴重なものです。
同じような給料であっても、この「退職金があるかどうか」によって老後の生活はかなり違ってきますので、就職先・転職先を決めるときには要チェックなポイントと言えますね。
退職金と税金
退職とともに税金ともオサラバ、といきたいところですが、残念ながら退職金にも税金はかかります。
ただ、現役時代の税金よりもかなり優遇されており、税負担はかなり抑えられます。
退職金には、次のような大きな控除枠が設けられているからです。
つまり、勤続20年までは1年につき40万円、勤続20年を超える期間については1年につき70万円の非課税枠があるということです。
なお、受け取った退職金が上記の非課税枠を超えても、その全額が課税対象になるわけではなく、課税対象になるのは超えた額の半分だけです。
下表は、平成26年までの退職金の税金の速算表です。
【計算例】「38年勤続の人が2,300万円の退職一時金を受け取った場合」
退職所得控除額:40万×20年+70万×18年=2,060万円
課税対象となる退職所得:(2,300万円-2,060万円)÷2=120万円
該当する税率は5%ですから、
最終的な所得税額:120万円×5%=6万円
2,300万円の退職金に対して6万円の所得税ですから、いかに優遇されているかがわかりますね。
(※課税所得が195万円を超える場合は、税率をかけた金額から上表右端の「控除額」を引いた額が最終的な所得税額になります)
なお、退職所得には、所得税だけでなく地方税(住民税)もかかります。
課税所得の計算方法は所得税と同じで、所得に対する税率は一律10%となりますので、上記の場合は12万円の住民税がかかることになります。
それでも、やはり支給額から見ればわずかと言って良いでしょう。
私の退職の場合は、上記によれば400万以上の非課税枠があったため、約200万円の退職金には税金はいっさいかかりませんでした。
なお、退職金には一時金ではなく年金の形で支給されるものもありますが、その場合は税金の計算方法も違ってきますので、別のページで紹介したいと思います。
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