自動車の燃費狂騒曲
不毛な燃費競争について考える
自動車について興味が無い人はこのページを開かないと思いますので、共有できる人を想定して書いていきます。
自動車のサイトや広告などを見ると、必ずそこには「リッター●●キロ」という燃費の数字がついて回ります。
自動車のレビューサイトを見ても、話題は燃費、燃費、燃費…
日本人は本当に燃費の話が好きだなと思います。
でも、これは昔からずっとそうだったわけではないはずです。
私が初めて車を買ったのは20年以上前になりますが、その時は車を選ぶときに燃費を気にした記憶が一切ありません。
(当時はガソリンが今よりはるかに安かったということもあるでしょうが。リッター80円台だった頃に戻りたい…)
近年になって地球温暖化などで環境意識が高まり、また税制等でもエコカーに対する優遇がなされるようになったこと。
また、高止まりしているガソリン価格のこともあって、燃費というものがここまで重視されるようになったのでしょう。
でも、最近の数字競争はちょっと異常な気がします。0.1キロ刻みでクラスNo.1を競い合って…
(ところで、「燃費が良い」ことを「低燃費」というなら、「一番燃費が良い」場合は「最低燃費」と言うんでしょうか。何か違和感…)
それに、ハイブリッド車でリッター30うんキロって言われても…
そのために高くて重いバッテリーや複雑なシステムが必要になっているわけで。
私みたいに年間6,000キロくらいしか乗らない人間にとっては、元を取るのもやっとです。
今乗っている車の実燃費はせいぜいリッター12キロですが、ハイブリッド車に乗り換えてもし実燃費が30キロになったとしても、
現在: 6,000キロ ÷ 12キロ/リッター = 500リットル
乗換: 6,000キロ ÷ 30キロ/リッター = 200リットル
ですから、年間でガソリン300リットルの差です。
ガソリン単価をリッター150円とすると、300リットル×150円=45,000円が浮くことになるわけですが、ハイブリッド車はガソリン車より40万円ほど高額なため、その価格差を埋めるには10年近くかかることになります。
それに加えて、ハイブリッド用のバッテリーの交換が必要になれば(保証期間は5年間、または10万km)、余分な出費がかさむことになります。
本末転倒してませんか?
なぜ人が燃費にこだわるのかと言えば、第一は「エコノミー」、つまり支出を減らせるからでしょう。
かくいう私も、以前愛車のディーラーの方に「もうちょっと燃費が良いと助かるんだけど…」という話をしたことがありますが、その時にこう言われました。
「高速に乗ってもらったら良い数字が出ますよ」
!!支出を減らしたいから低燃費を期待しているのに、なぜ必要もないのにわざわざ数字を出すためにお金を払って高速に乗らないといけないの??
燃費の数字が独り歩きしている証拠ですね。
最近は、ドライバーの方でも「リッター●●キロ出せた!」って言いたいがために、流れを無視した「エコ運転」をする人が目立つようになりました。
そこで自分だけがいくら低燃費でも、周りの車にブレーキを踏ませていたら全体としては大きなマイナスであり、それは「エコ運転」ではなくただの「エゴ運転」です。
もう1つのエコである「エコロジー」の観点から見れば、たしかに燃費が良ければ同じ距離を走ってもガソリンを使う量が減り、またその分空気も汚れないので環境に良いことは間違いないでしょう。
でも、余分な装置を積むということは、製造過程ではその分余計な資源やエネルギーを使っているはずなので、トータルで見れば本当にエコなのかわからなくなります。
何かハイブリッド車を目の敵にしたような文章になってしまいましたが、別にハイブリッド車を毛嫌いしているわけではありません。
実は将来電気自動車に乗る可能性を考えてに駐車スペースに充電用のソケットを用意しているくらいです。
燃費向上のための技術改善もすばらしいことだと思います。
私が言いたいのは、燃費を改善する(良い数字を出す)ためだけに高価な装置を使ったり、ドライバーに窮屈な運転を強いるような設定にするのはどうなのか、ということです。
燃費はそこそこ、でも価格は手頃で、走りが気持ち良い車があれば良いのになぁ~。
う~ん、何だかグチばっかり言っているような気がしてきた…^^;
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