家1軒分?自家用車の維持費の高さ
自動車のコストを考える
家を建てる、あるいは買うとなったら、一生に一度あるかないかのこととして、誰もが身構えるものです。
しかし、車ならどうでしょうか。
自家用車を買うことについては、おそらく家に比べてはるかに気軽に考えるのではないでしょうか。
家なら少なくとも1千万円の単位になりますが、自動車なら(ピンきりですが)百万円の単位で済みますからね。
でも、自動車にかかる本当のコストを考えたら、きっと今までのように気軽に持てなくなる人が多いはずです。
私は郊外に住んでいて車なしだと生活が成り立たないため、やむを得ず乗っていますが、そうでなければきっと手放しているでしょう。
(※車自体はけっして嫌いではありません。あくまでも経済的な観点によればということです。)
では、実際に自家用車を持つことのコストを試算してみましょうか。
自家用車のコストの試算
20歳から70歳まで、50年間車を運転するものとして試算してみます。
1.自動車本体の購入費用
個人差が大きいところですが、一般的なサラリーマンを想定して、150万円の普通自動車に10年間乗ると想定してみましょう。
この150万円には消費税や取得税などの税金、オプション代などすべて含まれますから、小型乗用車の価格帯になります。
すると、50年間では5台乗り換えることになりますから、150万円×5=750万円となります。
(乗り換え時の下取り収入は、10年乗れば大きな金額にはならないものとして計上しないことにします)
実際には、200万円を超える新車を買う人もいるでしょうし、5年以内に乗り換える人も珍しくありませんし、ローンを使って購入すれば利息分の支払いが加算されます。
それらを考えれば、自動車の購入費用だけでも実際には1,000万円を見越してもけっして過剰ではないでしょう。
2.税金・保険・車検費用
上記の通り、小型乗用車を想定すると、下記のように見積もることができます。
任意保険料と車検代は一般的な金額として計上しています。
上記は1年間あたりの費用ですから、50年間では、
158,335円×50年=7,916,750円
つまり、約800万円となります。これらは自動車に乗らなくても持っているだけでかかってくる費用です。
小型乗用車でこれですから、もっと大きな車であれば、金額ももっとかさむことになります。
3.ガソリン代・駐車場代
その他に、毎月かかってくる維持費用もあります。
まずはガソリン代です。計算の前提条件として下記のように想定します。
- 年間走行距離は6,000キロ
- ガソリン代は150円/リットル
- 燃費は15キロ/リットル
6000キロ÷15キロ=400リットルが年間のガソリン使用量になりますから、年間のガソリン代は、
150円×400リットル=60,000円
となり、50年間では300万円かかることになります。
年間6,000キロというのは週末ドライバーでも到達する距離で、実際にはその2倍以上乗る人はザラにいます。
次に駐車場代ですが、1ヶ月1万円とすると、年間12万円、50年間では600万円となります。
地方では月額1万円以下でも借りられるかもしれませんが、都市圏では数万円かかったりしますね。
持ち家に駐車スペースがあれば駐車場代はタダのように思いますが、駐車場を作るお金だって土地代だってかかってますし、固定資産税もかかりますから、けっしてタダではありません。
合計
以上の見積の合計額は…
実に「2,450万円」となります。
これは、けっして大げさに見積もった金額ではないことも理解してもらえると思います。
上記には計上していませんが、事故や故障が起きれば修理代がかさみますし、保険料も上がるでしょう。違反すれば罰金も取られます。
実際には3,000万円を超える人が少なくないのではないでしょうか。
まさに「家1軒分」の費用がかかるのが自家用車なのです。
どうですか、それでも気軽に乗ることができますか??
自動車無しで本当に生活は成り立ちませんか?
たとえば、もし週に2、3回、近所の買い物程度しか車に乗らないのなら、代わりにタクシーを使うことにしたらどうなるでしょうか。
ぜいたくに感じるかもしれませんが、週3回、1日2,000円タクシー代を使っても、
2,000円×3日×52週×50年=1,560万円
週に2回でよければ1,040万円です。
自家用車を持つよりもはるかに少ないコストで済みますから、その差額をかなりのことに使うことができそうです。
もちろん、生活環境上、日常的に自動車が不可欠な人は仕方ありませんが、「自動車をなくす」という選択肢があり得る方は、上記を参考にしてみて下さい。