価格変動の波に乗る:物を購入するタイミング
あなたが購入を決断するタイミングは?
魅力的な新製品が発売になるニュースを目にした時、あなたはそれをいつ手に入れたいと思いますか?
「いいなあ、あれ!速攻で買おう」
と思うタイプですか?それとも、
「まだ高いし、他の人の感想を聞いてからにしよう」
と考えるタイプですか?
新型のスマートフォンを手に入れるために徹夜で列に並ぶ人や、新型車を試乗もせずに予約注文する人がいます。
その一方で、新製品が出た後に値下がりした旧型を買う人や、新品は買わずに中古品ばかり購入する人もいます。
本当に人それぞれですね。
5つの購入態度
新たに現れた革新的商品やサービスなどの購入態度について、スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授が提唱した「イノベーター理論」というものがあります。
それによれば、購入態度は次の5つのタイプに分類されます。
1.イノベーター(Innovators:革新者)
冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%。
2.アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人。他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。市場全体の13.5%。
3.アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)
比較的慎重派な人。平均より早くに新しいものを取り入れる。ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
4.レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)
比較的懐疑的な人。周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
ラガード(Laggards:遅滞者)
最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統になるまで採用しない。伝統主義者とも訳される。市場全体の16.0%。
独身時代の私は、間違いなく「1.イノベーター」か「2.アーリーアダプター」であり、「あれいいな」と思ったら我慢できずに衝動買いしてしまう、ダメな人間でした(苦笑)。
勤務していた会社の給与水準はかなり高かったですし、今と違って(涙)自分の好きなことに自由にお金を使えました。
行列に並ぶのは嫌いなのでしませんでしたが、200万円の新車や50万円の新型ノートパソコンをキャッシュで買ったりしていました。
無駄遣いが多くて失敗もしばしばでしたが、楽しかったので後悔はしていません。
また、当時の私みたいに、高くてもすぐに買ってくれる層がいるからこそ、メーカーは十分な利益を得てさらなる商品開発が行えるのですから。
しかし、結婚後は大きく変わりました。
かなりの慎重派の妻(おそらく「4.レイトマジョリティ」)の影響で、私もガマンを覚えることができました。
魅力的な新製品が出てもすぐに飛びつくことなく、
「価格が下がり」
「品質が安定し」
「購入者の口コミを確認し」
「店舗で実物を確認し」
た上で、ようやく購入に踏み切るようになったのです。私も大人になりました…^^;
価格変動の波に乗る
最近は技術革新が進み、また商品サイクルが短くなって、優れた商品が驚くほど短期間に値下がりするようになりました。
(これは消費者としては喜ばしいことですが、日本経済全体として見れば手放しでは喜べません)
たとえば、下図は「価格コム」で提供されている、ある4Kテレビの価格変動のグラフです。
発売時には約465,000円だった最安値は、1週間で400,000円を切り、1か月後にはすでに30%近く値下がりしています。
発売後9週間で約40%下落の281,000円となり、次の新製品が発売された半年後には、ほぼ当初の半額(52%)に下がって安定していることがわかります。
そして、後継商品もやはり発売直後の1ヶ月で30%近く値下がりしているのです。
もちろん、4Kテレビ自体がまだ導入期の商品であるために顕著な動きをしていることも事実です。
しかし、程度の差はあれ、こうした価格変動パターンが繰り返されるのだとすれば…
下図のように、発売直後に購入を繰り返す人(赤い矢印)と、価格下落後に購入を繰り返す人(緑の矢印)では、購入の間隔は変わらないのに、支出額には大きな差がつくことになりますね。
理論的には、最初の購入タイミングで一度ガマンすれば、あとは早期購入者と「同じ待ち時間」で、安い商品を買い続けられることになります。
価格変動の波をうまく乗りこなすことで、大きく支出を減らすことができるわけですね。
「発売直後に買う快感」はなかなか忘れられませんが…