生命保険との賢い付き合い方 その2
生命保険が必要なステージとは
「生命保険との賢い付き合い方」で、生命保険はリスクに見合った商品・設計を選ぶべきだというお話をしました。
そして、備えるべきリスクというのは一生一定なわけではなく、ライフステージ等によって変化しますから、必要な保険もリスクの変化に応じて変わります。
私が失敗したように、まだ若く、扶養すべき家族もいない段階で生命保険に入る必要はありません。
また、子供が大きくなって手を離れたり、逆に面倒を見てくれるようになれば、やはり生命保険は必要無くなります。
収入が多くて十分な資産がある人は年齢を問わず保険に入る必要はありませんし、そうでなくても万一の時に残した家族の面倒を見てくれる人(両親や兄弟など)がいるなら、やはり生命保険は要りません。
生命保険が無くてはならないのは、結婚して子供が手を離れるまで、特にまだ若くて蓄えも少ない時期です。
そのように、保険金がなければ万一の時に家族の生活が支えられない時期には、しっかりと保険でリスクをカバーする必要があります。
「リスク>経済力」の時期ですね。
備えるべきリスクが少ない時期には、保険に入らずに現預金で蓄えておけば良いのです。
保険の設計に際して抑えておくべきこと
「そうは言っても、病気になったり亡くなったりした時のことを考えたら、十分な生命保険に入っておかないと不安で仕方がない」
という人は多いでしょう。
でも、本当に生命保険ですべてのリスクを引き受けなければならないのでしょうか?
たとえば、マイホームをローンで買うことを考えている人は、その間のリスクに敏感になるかもしれません。
しかし、住宅ローンを組めば、その際にはほぼ強制的に死亡保険に加入させられます。
加入者が死亡または高度障害になった場合、その保険が残債を支払ってくれるので、住宅ローンの支払いは不要になります。
さらには、マイホームを売却することで当座の生活費をまかなうことができますから、それ以上の保険は必要ないと言っても過言ではありません。
また、大きなケガや重い病気になった時の治療費が心配で、医療保険や医療特約付きの生命保険に入る人もいるでしょう。
しかし、民間の保険に入る前に、すでに公的保険に入っていることを忘れてはいけません。
健康保険や国民健康保険では、自己負担は3割だけで治療ができます。
そして、公的保険にはさらに「高額療養費制度」というものがあり、長期入院や高額療養で治療費がかさんでも自己負担は一定額に抑えられる、ということを知らない人が少なくありません。
仮に医療費が100万円かかったとしても、1ヶ月あたりの負担はほとんどの人が10万円未満で済むのです(負担額は収入によります。また、保険対象外の先進医療には適用されません)。
【参照】『高額な医療費を支払ったとき』(全国健康保険協会)
また、ケガや病気で働けない期間の収入についても、健康保険には「傷病手当金」の制度があり、最長で1年半にわたって給料の約3分の2が支給されます。
上記のようなリスク対策がすでにあるということをしっかり理解した上で、独自の保険加入を検討することが大切です。
繰り返しになりますが、備えるべきリスクを越えて保険料を支払うよりも、その分を現預金で蓄えておく方が健全であり賢明です。
どんな保険に入るべきか
私は、あらゆる保険商品に精通しているわけではありません。
しかし、間違いない保険選びをするための鉄則をお話することはできます。
それは、
「非営利団体の保険を活用する」
ということです。
具体的には、全労済やJA共済、県民共済などの共済系の生命保険です。
共済系の生命保険は、民間の生命保険に比べて圧倒的に経費率が低いために、もともと保険料が安い上、決算後の利益を割戻金として還元してくれるため、同等の保証なら保険料負担はざっと半分で済むからです。
民間の生命保険の派手な宣伝に目が行きがちですが、そうした宣伝費用はしっかり保険料に反映されているのです。
実際に私も現在は共済系の保険に加入しています(別に回し者ではありませんよ)。
共済系の保険を活用することで、ムダな保険料を払わずにしっかりリスクに備えることができるでしょう。