顧客を獲得できなければ始まらない
顧客、顧客、顧客
ビジネスの厳密な定義はわかりませんが、私は究極には「利益をあげる」ことだと思っています。
そして、そのためには、顧客を獲得して商品やサービスを購入してもらうことが必要です。
ごく当たり前のことですが、そのことが本当の意味で理解できていない人が少なくありません。
たとえば、税理士や社会保険労務士といった「士業」の世界で成功するために最も大切なことは何かと聞くと、
「専門知識」「実務能力」
のように答える人が必ずいます。
しかし、現実は違います。
士業者は特定の分野に関する専門家であり、その専門性によって報酬を受けるわけですから、規定に沿った書類作成、的確な助言・指導などを行う実務能力を磨くことは、士業者として成功するための必要条件だと言えます。
では、実務能力というのはどうすれば身につくのでしょうか。
専門書をいくら読んでも、実務能力はつきません。本当の実務能力というのは、実務を通して初めて身につくものなのです。
では、実務を経験するには何が必要か。
そう、「仕事を受注すること」が必要なのです。
仕事をたくさん受注できれば、たくさんの経験を積んで実務能力が磨かれるので、より良いサービスを提供できます。サービスが良ければ正当な報酬を得ることができ、顧客の満足度も高く、さらに仕事をたくさん受注できる、という良い流れを作ることができます。
逆もまた成り立ちます。
仕事が受注できないと、経験が積めないので実務能力が磨かれず、良いサービスが提供できません。そのために報酬を下げることでしか受注できず、顧客の満足度も低く、仕事の依頼も増えない、という流れです。
人は自信のない仕事を受注することは勇気がいるものですし、仕事を頼む方も経験の乏しい人に頼むのは不安なため、たくさん仕事を受注している事務所にはどんどん仕事が舞い込み、そうでない事務所にはますます仕事が来ない、ということになります。
また、仮に優れた実務能力をすでに持っていたとしても、それを顧客に伝える能力がなければ仕事は受注できません。実務能力が人並みでも、自分の実力をアピールする能力さえあれば、仕事を通じて実務能力は磨かれていくことになります。
つまり、事務所経営が成功するかどうかは、端的に言って、
「仕事を受注する能力」
にかかってくると言っても過言ではないのです。
上記はサービス業の例ですが、商品を販売するビジネスも本質的には違いはありません。
どんなに優れた商品を扱っていたとしても、それが顧客の手に届かなければそのことをわかってもらうことはできません。
商品が手に取れない状況で、その商品を欲しいと思わせ、実際に購入してもらうことが必要なのです。
売る力だけあって商品に問題があってもいけませんが、そもそも売上が立たなければ顧客の声を聞くこともできませんし、商品を改善することもできません。
ビジネスを軌道に乗せ、発展させていくためには、「売る力」が絶対不可欠なのです。
特に、知名度も実績もない事業者が売上をあげる、つまり「ゼロから最初の顧客をつかむ」ことは本当に大変です。
あなたがビジネスを始めるなら、「どうやって顧客を獲得するのか」ということを徹底的に研究しなければなりませんし、もしその見通しが立たなければ、ビジネスを始めるべきではないのです。