サラリーマンとの違いは「時間」にあり
「時間」に対する考え方の違い
私が独立後にサラリーマン時代との違いを実感したのが、「時間」への感覚でした。
私は社会保険労務士という資格業で独立しましたが、まして業務経験ゼロでの独立だったため、独立後も様々な専門知識を学ぶ必要がありました。
ですから、当初は机に向かって毎日専門書を読みふける日々。
「う~ん、今日は○時間も勉強した。がんばったなぁ~」
しかし、ある時ふと気づくわけです。
「ん?そういえば独立してからまだ1円も稼いでないな」
サラリーマン時代は、定められた給料が前提としてあって、日々与えられた業務をこなしていれば、その給料をもらうことができました。
こんな言い方をすれば立腹される人もいるかもしれませんが、それこそ所定の時間机に向かっていればそれで給料がもらえるのです。
まして、少し居残って仕事をすれば、割り増しの残業代というものをさらに得ることができます。
成績評価によって給料に違いが出てくる余地はあっても、サラリーマンは基本的には「時間」に対してお金をもらっているのです。
その証拠に、有給を取らずに「欠勤」すれば、仕事の成果に関わらず「時間単価」で給料が減額されるはずです。
しかし、独立事業者の場合は、いくら机に向かっていても、それだけでは1円にもなりません。
顧客をつかまえ、報酬を支払ってもらって初めて収入を得ることができるのです。
もちろん、そのためには知識を身につけることは必要ですから、机に向かうことは無意味ではなく、言わば「必要な投資」です。
しかし、事業において成果が得られなければ、その投資はムダであり、ただの「自己満足」に過ぎません。
重要なのは、投下した時間ではなく、成果なのです。
そのごく当たり前のことが腑に落ちるようになるまで、私はずいぶん時間を浪費しました。
ちなみに、私が独立後初めて収入を得た仕事は、ある生命保険会社が主催するセミナーの講師であり、その時の報酬は「5,000円」でした。
その1時間半のセミナーに、私は2週間をかけて準備をしたのです。
もっと言えば、そのセミナー講師の仕事を受注するために、多くの時間と手間をかけていろいろな保険会社に営業をかけることが必要でした。
そのセミナーだけを考えれば完全に赤字ですが、そのセミナーをきっかけに他の仕事につなげたことで元を取ったのです。
逆に言えば、成果さえ出せれば、何時間働こうが働くまいが関係なくなります。
昼まで寝ていることも、平日の昼に映画を見に行くこともできます。
極端な話、うまく仕組みさえ作ることができれば、働かなくても自動的に収入を得ることも可能です。
ずいぶん前のことですが、私は個人で社会保険労務士試験の学習マニュアルを作成・販売し、1ヶ月100万円以上の収入を得ていた時期がありました。
その時は、購入申込みと入金のお知らせをメールで見るだけで、何もする必要がありませんでした。
ちょっと話が先走り過ぎました。
そのように働かなくても収入が入るような状況を作り上げるのは、並大抵のことではありません。
独立事業者は本来、やることが山積みで、時間がいくらあっても足りません。
サラリーマンなら組織の中で割り当てられた仕事だけをしていれば済みますが、独立事業者は自分ですべてをこなさなければなりません。
仕事を取ってくる営業マンであり、依頼や問い合わせの窓口でもあり、請求書を出したり入出金を管理する経理マンでもあり、必要な備品の管理を行う庶務担当でもあります。
そして何より、実務を全うし顧客を満足させられる専門家でなければなりません。
しかし、時間には限りがありますから、事業を回したり拡大するためには、他者の力を借りる必要があります。
そう、他人にお金を払って「時間を買う」のです。
時間に対してお金をもらうサラリーマンと、決定的に違うのがここです。
(最近は仕事を効率化してくれるソフトウェアを買うことで代えることもできますが)
私は従業員を雇用したことはありませんが、いろいろな業務を「外注」することで時間を買ってきました。
(またまた話が先走りますが、逆にそうした「外注」を受けることが事業や副業にもなり得ます)
「時間を切り売りして収入を得るのがサラリーマン」
「時間を買って収入を得るのが独立事業者」
と言うことができるでしょう。