「てこ」を使うことでビジネスは拡大する
マンパワーには限りがある
脱サラして独立した人の多くは、文字通り「身一つ」で事業を開始します。
「身一つ」であることには、メリットとデメリットの両方があります。
事業の内容や方向性を自分で好きなように決められます。
働く時間も休みを取る日も自分の都合で決めることができます。
確かにそこには一定の自由があります。
ただ、「身一つ」であることには、ありとあらゆることを自分でやらなければならない、という大きなデメリットがあります。
組織の中では、ビジネス全体の中の割り当てられた部分だけを担当すれば給料がもらえました。
しかし、独立事業者は、少なくとも当初はビジネス全体を1人で切り盛りしなければなりません。
自分でビジネスを企画し、商品・サービスを開発し、顧客を探し、販売をし、集金をし、サポートをし、記帳をし…といった具合です。
一人の人間ができることには物理的な限界があり、それを越えることはできませんから、ビジネスの規模もそれ以上拡大することはできません。
その限界を超えてビジネスを拡大するためには、あなたの労力を軽減し、成果を拡大してくれる「てこ」を探し、それをできるだけ多くビジネスの中に採り入れることが必要です。
ビジネスの「てこ」の具体例
イメージしやすいように、具体例を少し挙げてみましょう。
私は、社会保険労務士として開業した時、ツテも人脈も見込顧客も一切ありませんでした(無謀…)。
しかし、企業を1社1社訪問して営業するのは時間も手間もかかりますし、営業の経験すらなかった私がそれで仕事が取れる可能性は限りなく低いことは明らかでした。
そこで私は、別の営業先をターゲットにしました。
それは、生命保険会社や商工会議所などです。
生命保険会社や商工会議所はそれぞれに数多くの「顧客企業」「会員企業」を抱えており、それらを対象にビジネスセミナーを定期的に開催していました。
そのビジネスセミナーの講師をタダ同然でやらせてもらえないかと営業をかけていったのです。
なぜなら、セミナーの集客は生命保険会社・商工会議所が行ってくれるので、私が1社1社に営業をかけなくてもセミナーで見込顧客である数多くの企業とまとめてコンタクトすることができるからです。
しかも、私は「講師をする先生」の立場で見込顧客と出会うことになるため、1社1社に対して「お願い営業」に回るよりも、はるかに有利な関係を作ることができるのです。
一方、生命保険会社・商工会議所の方でも優れたセミナー講師を必要としており、おまけにタダでも引き受けてくれるというのであれば、断る理由は少なくなります。
当時は会社に個別に営業に回る同業者はいても、私と同じように生命保険会社・商工会議所に営業をかける同業者はほとんどいなかったため、高い確率でセミナー講師の仕事を得ることができ、そこから数多くの仕事につながりました。
つまり、私は生命保険会社や商工会議所を営業・集客の「てこ」として利用したのです。
また、私は転職コンサルティングの仕事を対面では行わず、すべてインターネットを使ってオンラインで行なっています。
かつては受講者と直接会って指導を行っていましたが、それでは遠隔地の方の場合は会うだけで多くの時間と費用がかかってしまいます。
今ではスカイプのように、直接会っているのと何ら遜色のないオンライン通信サービスがありますので、それを使えばムダな時間と費用をかけることなく、全国どこに住んでいる方にもコンサルティングを受講してもらうことができます。
また、コンサルティングの中には個別の内容と、どの受講者にも共通にお話する内容がありますが、後者については動画に収録して別途それを視聴してもらうことにしました。
そうすれば、同じことを1人1人に繰り返し話す必要がなくなり、その時間でさらに多くの方のコンサルティングを行うことができます。
つまり、私はスカイプや動画といったツールを本業の効率化の「てこ」としているのです。
それ以外にも、自分が行なっていた作業をできるだけ「外注」するようにしています。
たとえば、日々の事業活動の記帳や年末の確定申告作成の作業などがそれです。
これらは事業に付随する作業であり、避けることはできませんが、いくら時間を掛けてもそれ自体はビジネスそのものに寄与するものではありません。
そこで外注を「てこ」として、そうした雑務に割く労力を減らして重要な業務に注力できるようにしているのです。
もしかしたら、「外注なんてもったいない」「自分でやればムダなお金をかけずに済む」と思う人もいるかもしれません。
しかし、その考え方では事業の拡大はおろか、維持すら難しいかもしれません。
時間は有限であり、それを最も有効に使える人が事業に成功できる人だと思います。
最も貴重で大切なのは目先のお金などではなく、あなたの「時間」なのです。
あなたももし自分のビジネスを成功させたいなら、できるだけたくさんの「てこ」を活用しましょう。