仕事に望むものは人それぞれに違う
仕事に対する優先順位
転職支援の仕事をしていると、つい安易に「転職に成功」などと言ってしまいがちです。
しかし、「転職ができたかどうか」は明確に区別できても、その転職が「成功であったかどうか」は一概に言えるものではありません。
私は転職支援の一番最初に、『転職問診票』と称する、かなりの分量の事前アンケートへの回答をお願いしています。
それによって受講者の経歴を知るだけでなく、転職や仕事に対する考え方や希望等も理解するためです。
アンケートの中には、
- 希望する企業規模
- 希望する年収
- 希望する通勤条件
- 希望する休日条件
- 希望するワークスタイル
などを問う質問もあります。
転職コンサルタントは、自分の価値観や一般的な価値観を押し付けるのではなく、転職希望者が望むことを十分に理解してアドバイスを行わなければならないのです。
あなたが仕事に望むものは何?
人がベストと思い描く雇用条件というのは、実に様々です。
ある受講者は、過去の過酷な勤務がトラウマとなって、何よりも「仕事が楽」で休日・余暇が十分に取れることを優先し、条件の良い(が忙しい)内定を蹴って一番待遇の低い会社を選びました。
またある受講者は、とにかく年収第一。多額の住宅ローンと進学を控えた子どもたちを抱えていることもあり、仕事の中身そのものよりも待遇の良さを何より重視しました。
自分が好きな仕事がやれればお金は生活さえできれば良いという、職人気質の人もいます。
私がサラリーマン時代には、役職者に昇進して給料も大幅にアップしたにも関わらず、部下を管理する仕事が苦痛で、自ら降格を申し出て平社員としての仕事を楽しんでいる人もいました。
誰もが昇進や昇給を追求するわけではないのです。
あなたが幸せなサラリーマン人生を送るためには、家族でも上司でも同僚でも採用担当者でもなく、あなた自身が本当に望んでいることは何かを見極める必要があります。
すべてがあなたの希望する通りになるわけではないとしても。
出世して権力を持ちたいのか。
お金をたくさん稼ぎたいのか。
仕事のスキルを極めたいのか。
社会に貢献したいのか。
つつがなく勤められれば良いのか。
自由に生きたいのか。
仕事よりプライベートの充実が大切なのか。
それが明らかになれば、それを実現するためにやるべきこと、できることも見えてきます。
ある人にとっては人脈作りかもしれませんし、資格を取ることかもしれませんし、社内異動かもしれませんし、転職かもしれませんし、あるいは独立かもしれません。
社会や他人の価値観に惑わされないで、自分の本当の望みを見極め、それに向かって進めていれば、きっとそれは幸せなことなのだと思います。
最も不幸なのは、周りに流されて自分の望みとは違う道を進むことです。