脱サラ後の再就職は本当に難しいのか
独立経験者の再就職はなぜ難しい?
私が行なっている転職支援の受講者の中には、業績不振等の理由で独立自営に見切りをつけて企業への再就職を目指す人もいます。
一般的には、そのような独立経験者がサラリーマンに戻ることは難しいとされます。
その理由の根底には、組織から飛び出て言わば「自分の好き勝手」にやっていた独立経験者は、組織の一部として忠実に会社に尽くすべきサラリーマンには適さない、という見方があります。
これは、脱サラから10数年間独立自営をやっている私自身を振り返ってもうなづけるところがあります。^^;
また、転職・再就職活動において独立経験が実際にマイナスに働く側面があることも否定できません。
ただ、独立経験者の再就職が、際立って実現可能性が低いかと言えば、私はそうは思いません。
なぜなら、これまで私がコンサルティングを行なった独立経験者の方は、独立経験の無い他の受講者と何ら変わらず再就職に成功してきた実績があるからです。
それは、独立経験者には「サラリーマンしか経験の人は持ち得ない」、独立経験者ならではのアピールポイントがいくつもあり、それを効果的にアピールすることで十分に挽回が可能だからです。
独立経験者のアピールポイントとは?
言うまでもなく、独立事業者とは、事業の経営者となることを意味します。
経営者は、与えられた役割を粛々とこなすだけでは決して務まりません。
独立を図るからには、当然提供する商品やサービスを生み出す力は必要です。
それだけでなく、事業を回していくためには資金繰りや税務処理といったカネ勘定のスキルも必要になります。
そして、事業の源である売上をあげる能力、つまり販売力・営業力が絶対に必要です。
また、事業の成功には様々な立場の人と良好な関係を築くコミュニケーション能力が不可欠です。
つまり、独立事業者を経験しているということは、総合的なビジネススキルを磨いているということに他なりません。
たとえ規模は小さくても、経営に携わった経験は、将来出世して企業の経営に携わる立場になった際に役立つのはもちろんのこと、一般社員としても他の部署のことも理解した視野の広さやバランス感覚をもたらしてくれるはずです。
また、事業運営に挫折した経験も、決してマイナスではありません。
経営の厳しさや「カンバン」のありがたさといったものを身をもって実感していること。
そして、自分の力の限界や本当の適性というものを思い知っているということ。
それらは、サラリーマンしか経験の無い人には得難いものです。
そして何より、独立経験者には一度は「組織を出て自分の腕一本でやっていく」という決断をした、気概や胆力があります。
それらは独立経験者のデメリットとしてとらえられがちなものですが、見方を変えれば一般のサラリーマンにはない、強力な差別化要素でもあるのです。
上記のようなアピールポイントをしっかり伝えることができれば、サラリーマン一筋の大勢のライバルから、むしろ一歩抜け出た存在になれる可能性も十分にあります。
独立事業者として「揉まれた」経験は、決して無にはならないのです。