転職回数は少ないほど良い?:評価されるキャリアの原則とは
「○○一筋」が好まれる
現在の日本では、終身雇用や年功序列という言葉が過去のものとなりつつあります。
大きな会社に入れば一生安泰、会社が丸抱えで最後まで面倒を見てくれる、という時代は終わっています。
働く側も1社にしがみつくのではなく、必要に応じて会社を変わることもいとわない、そういう風潮も確実に浸透しつつあるように思います。
しかし、転職支援の仕事をしていて、いろいろな経歴の持ち主のコンサルを行う中で、日々実感することがあります。
それは、転職市場においては、
「転職経験が少なく、同じ会社・同じ畑で仕事を続けている人が評価される」
という原則は今でもほとんど変わっていない、ということです。
つまり、「○○一筋で働いてきた」という人ですね。
転職回数の問題
転職市場で最も高く評価されるのは、過去に転職経験がなく、今回が初めての転職という人でしょう。
私個人としては、長年1社しか知らない人よりも、異なる職場を経験されている人の方が、仕事の幅も柔軟性も増して、ビジネスマンとしてよりレベルアップすることが多いと思っています。
でも、現実にはなかなか採用側の意識は変わらないようです。
(もちろん、企業によっては転職経験を積極的にプラス評価するところもあります)
転職回数は何回までなら良いのか、というよくある質問には、絶対的な正解はありません。
年齢によって当然転職回数の許容範囲は変わってきますし、採用企業の方針もそれぞれです。
また、転職の理由も100%自己都合によるものもあれば、倒産などやむを得ないものもありますので、単純に回数で線引きをすることはできません。
ただ、大づかみな話で言えば、1回や2回の転職経験があることは問題ありませんが、これが4回、5回となってくると、どう理由を取り繕ったとしても、
「会社に対する忠誠心がない人なのでは?」
「組織でうまくやっていけない人なのでは?」
「忍耐力がなくちょっとしたことで辞めてしまうのでは?」
などとネガティブな見方が生じてくる可能性が高いでしょう。
私がコンサルティングをさせて頂いた中には、過去に10回以上転職をされていた方もいましたが、やはり転職活動にはかなり苦労した記憶があります。
条件の良い転職をするためには、転職回数は少ないに越したことはないことは間違いないでしょう。
一貫性を欠くと評価は急落する
実はキャリア評価において転職回数よりも重要なのは、職務内容の「一貫性」の方でしょう。
仮に転職回数が多少多くても、営業職なら営業職、経理職なら経理職という「同じ畑」でキャリアを積んできた人は、評価が極端に下がることはありません。
しかし、職場が変わる度に仕事の内容が変わるような転職を繰り返している人は、評価は大きく下がります。
(私のようなキャリアです…(苦笑))
転職に明確な方針が見当たらない、という、その人の考え方や行動への信頼性も低下しますが、それ以上に、
「何のプロなのかわからなくなっている」
という、純粋なスキル・経験不足のダメージの方が問題でしょう。
たとえば、社会人経験が15年あったとして、一貫性のない転職で3つの異なる分野でそれぞれ5年ずつ働いたとします。
すると、次にその中のどの分野に転職するにしても、社会人経験が5年の若手と同じ経験しか持っていないことになります。
年齢だけ高くなって、若手並みの経験しかないのであれば、柔軟で体力もあって安い賃金で済む若手社員の方が好まれるのは当然の話です。
一定以上の年齢の中採用は、基本的に「即戦力採用」です。
年齢にふさわしいスキル・経験のない人は採用の対象になり得ません。
キャリアの一貫性を保った「転社」はまだしも、仕事の中身を変える「転職」(?)にはご注意を。
キャリアチェンジにはそれだけ慎重になる必要があるのです。