65歳定年時代のサラリーマンのあり方
65歳まで働く時代がやって来た
「高齢者雇用安定法」が改正され、2013年4月から65歳までの継続雇用義務が法制化されました。
これにより、企業は原則として希望者全員を65歳まで雇用する必要があり、義務に違反した企業名が公表されることとなります。
その背景には、厚生年金の受給開始年齢が65歳からに引き上げられることがあります。
つまり、60歳定年から65歳年金支給開始までの収入の空白期間を埋めるための対策というわけです。
実は60歳定年制が義務化されたのは21世紀も目前の1998年のことで、今からほんの20年前には、まだ「55歳定年」の企業もたくさんあったのです。
55歳定年時代には30数年でリタイアしていたサラリーマンも、定年が65歳ということになれば、最長で大卒でも43年、高卒なら47年も勤務することになります。
正直、「そんなに働かないといけないのかぁ~」と思います。^^;
私が普段行うキャリアコンサルティングの受講者の中で、最も多数を占めるのは40代前半です。
「キャリア20年のベテラン」という感覚で捉えがちなのですが、65歳定年時代では「まだキャリアの折り返しにかかる頃」ということになりますね。
サラリーマンに求められる意識改革
このように法的に企業の雇用義務が伸ばされる一方で、企業そのものの土台はかつてに比べて大きく揺らいでいます。
大手企業であっても大量のリストラを行なって延命を図る時代であり、終身雇用はとっくに死語となっています。
サラリーマンを引退するのは65歳だとしても、それまでの40数年の間、同じ会社にずっと勤め続けることを前提に考える時代は終わったと言って良いでしょう。
(もちろん、幸いにして1社でキャリアを全うする人はいるとしても)
つまり、常に「いつか転職しなければならない」ということを意識して働くことが必要になります。
別の言い方をすれば、「今の自分は他の会社から欲しいと思われるだろうか」を意識し、実力を、実績を積み上げるということです。
一番不幸なのは、胸を張れるような仕事をせずに会社にぶら下がってきて、年齢が高くなってから会社から放り出されるようなケースです。
(60歳の定年まで会社にいる人は希望者全員を65歳まで雇用しなければならないので、不要な人材はその前に切ろうとするはずです)
年齢が高く、それに見合う実力がなければ再就職は非常に厳しくなりますし、年齢が高くなってから自分を変えたり違う世界に飛び込むことは難しくなります。
かつてなら、若い頃は薄給で猛烈に仕事をする代わりに、年齢が高くなれば年功序列で出世して給料も高くなる一方で、仕事は若手にまかせてノンビリすることができました。
しかし、これからのサラリーマンは、いつ会社を辞めても大丈夫なように若くから仕事をがんばる必要がありますし、40代、50代になっても、「いつまでも我が社にいてもらいたい」と思われるような働きをしなければなりません。
サラリーマンは気楽な稼業、どころの話ではなくなったのです。