20代の方の応募書類の作り方
謙虚さと自信のバランス
20代というのは、程度の差はあれ、職業人として未完成で、経験も実績もまだまだ不十分です。
応募書類作りでは、自分に対してそうした客観的な視点を持っていることが不可欠です。
「採用されるには、自分の能力を目一杯アピールしないと」
と、肩肘を張って、まるでベテラン社員であるかのように大げさに主張すると、採用担当者には「自分の力量を把握できていない」と苦笑されるのがオチです。
大切なのは、「自分はまだ未熟である」という謙虚さと、その中に垣間見せる自負や自信とのバランスです。
多くの会社は、20代の若者を高いレベルでの即戦力としては期待していません。
入社後の成長によって長期的に自社に貢献貢献してくれる人材であることを期待して採用するのです。
ですから、あたかも自分がすでに完成品であるかのような無理なアピールをする必要はありません。
自分の現在地を客観的にとらえて今後の成長意思を示し、また成長が可能であることの証拠として現時点での経験や実績をわかりやすく示すのです。
そうすることで、
「自分をわかっている」
「将来の見込みがある」
人材として、好意的に評価されることになるでしょう。
会社は20代のあなたの「将来性」を買うのです。
書類作りの実際
20代の方の場合、キャリアが短く、一般的にはアピールできる経験・実績もそれほど多くはありません。
そのため、応募書類ではスペース不足に悩むことはほとんどなく、書くべきことをしっかり書ききることができます。
むしろ「書く材料に事欠く」人が多く、40代、50代となってくると、逆に書くことが多くて「要約力」が重要になってくるのと対照的です。
ムダな空白を目立たせることなく、有効にスペースを使ってアピールすべきポイントは漏らさず記載しましょう。
20代の履歴書
※詳しくは「履歴書の技術」のパートを参照して下さい。
「職歴」に記載する情報が少ないこともあって、下記のように空白が多く「寂しい」印象の履歴書になりがちです。
履歴書は今やメイン書類ではありませんが、あなたの第一印象を左右しますから、ここで少しでも興味を持ってもらえるように出来る限りの配慮をしたいところです。
1枚目では、「職歴欄」に会社の基本情報(売上・従業員数など)、配属部署や担当業務の概要など、簡潔に情報を補いましょう。
それでもスペースが余るようであれば、学歴をさらに溯って記載すると良いでしょう。
2枚目は、学歴・職歴という基本情報以外の付加的情報を伝える場所であり、採り上げる項目も選択の余地がありますから、自分に都合の良い項目やレイアウトを選びましょう。
書ける資格や免許があまり無いなら、「特記事項欄」のようなものを設けて、受講した講座や勉強中のことなど、自己啓発に関することを少しでもアピールしましょう。
趣味・特技は、評価そのものを左右するわけではありませんが、仕事以外の側面や人間性を知ってもらうことは、多少なりともあなたに興味を持ってもらったり採用への障壁を減らすことにつながります。
定型的な文章になりがちな志望動機は、まず自分の言葉で表現するということが大切。
読むのが負担になるほど長文を書くのは逆効果ですから、端的にわかりやすく表現することを心がけましょう。
20代の職務経歴書
※詳しくは「職務経歴書の技術」のパートを参照して下さい。
応募書類のメインとなるのが職務経歴書です。
あなたが「戦力となり得る」人材であると判断してもらうために、
「どんな仕事を経験してきて、どんなスキルを身につけているのか」
をわかりやすく説明します。
20代でいくら職歴が短いと言っても、1枚に収めるには最低限のアピール要素しか盛り込むことができませんし、逆に3枚、4枚と紙面を費やす必要がある程のキャリアを持つ人は少ないはずです。
あくまでも標準としてのお話ですが、20代の方は下記のように2枚をフルに使って職務経歴書を仕上げると良いでしょう。
あなたが残した業務実績は、遠慮することなく、誇張することなく、はっきりと記述しましょう。
明確な過去の実績だけでなく、仕事への取り組みや心構え、弱点を補うための自己啓発の状況、今後の目標やキャリアの方向性など、将来に向けてのポテンシャルをアピールすることも、20代ならば許容されます。
なお、転職経験のある人は、退職理由を職務経歴書の中で具体的に説明されることをお勧めします。
転職が比較的容易な20代だからこそ、採用してもまた簡単に転職されてしまうことを採用側は懸念します。
書類上で納得性の高い退職理由を用意しておくことが、書類選考にも面接にもプラスに働きます。
20代の自己PR文
※詳しくは「自己PR文の技術」のパートを参照して下さい。
純粋な実績やスキルレベルでは強力にアピールすることが難しい20代の方は、自己PR文の作成に力を入れるべきです。
よくできた自己PR文は、あなたの人間性や仕事ぶりへの「共感」を感じさせ、現時点での実績やスキルがライバルよりも多少劣っていたとしても、
「この人を面接に呼んでみたい」
「この人なら会社に貢献してくれそうだ」
と採用担当者に思わせることが可能だからです。
強力な自己PR文は、単に書類選考を通過できる確率を高めるだけでなく、面接の選考にも大きく影響します。
履歴書と職務経歴書だけでなかなか結果が出ないのであれば、自己PR文が突破口になる可能性は大いにあります。